「側弯症」の治療方法とは?リハビリテーションは効果がある?
脊柱(背骨)は、
前から見ると真っすぐに、
横から見るとS字カーブを描く弯曲を呈していることが分かります。
このような脊柱の構造を“生理的弯曲”と言いますが、
これが側方へ異常なほどに弯曲した疾患を
「側弯症」と言います。
「側弯症」とは、
正面から見て、脊柱が側方へ弯曲した疾患です。
側方への弯曲が主体ですが、
加齢が生じた高齢者のように後方へ弯曲した場合には、「後弯症」と言います。
「側弯症」には、様々な原因があり、
原因が特定されているものと、そうでないものがあります。
後者を“突発性側弯症”と言います。
原因が特定されている側弯症についてはこちらの記事を参照ください!
→「(脊椎)側弯症」とは?原因や症状、その治療法とは?
「側弯症」に対する最もスタンダードな治療は、
“装具療法”です。
将来的な側弯の進行に対して予防的な役割を含めて処方されます。
その適応基準は、Cobb角が20〜50°であり(それ以上は手術療法)、
ミルウォーキー型やアンダーアーム型の装具が代表的です。
加えて、リハビリテーションなどで行われる
“運動療法”を併用して行う場合もあります。
そこで今回は、「側弯症」の治療において、リハビリテーションの効果について解説します。
リハビリテーションは効果がある?
「側弯症」に対するリハビリテーションでは、
主に“運動療法”によって、
症状の進行の予防を目的に施行されます。
しかしながら、日本側弯症学会によると、
“装具療法”を除いて、種々の徒手療法による側弯角度の改善に“科学的根拠はない”としています。
無論、運動療法も例外ではありません。
だからと言って全く効果がないというわけでもありません。
側弯自体の著明な改善は得られないまでも、
側弯による二次的な疼痛の抑制や予防、筋力低下や関節可動域低下の抑制や予防に対して効果はあると考えられます。
実際に運動療法は何をする?
では、「側弯症」に対する運動療法はどのようなことを行うのでしょうか?
一般に側弯が生じると、
凸側の筋は伸張位となるため筋力が低下します。
一方で、凹側の筋は短縮位となるため筋の伸張性が低下します。
これらに対して、
凸側の筋の筋力強化や、
凹側の筋のストレッチなどを行うことで、
身体のアンバランスを是正し、側弯症の進行の予防に一役買うことが推測されます。
また、過剰な筋の短縮や伸張などのアンバランスは、
筋や筋膜由来の疼痛を招きやすいため、それらの予防にも効果的です。
筋・筋膜性腰痛に関する記事はこちら
→「筋・筋膜性腰痛症」の原因や症状、治療法とは?
→「筋・筋膜性腰痛症」に対するリハビリテーションの方法は?
生活指導も重要?
「側弯症」に対するリハビリテーションでは、
運動療法のみならず、
“生活指導”も重要となります。
片方の腕にカバンを持つなどの持続的な不良姿勢は、
さらなる側弯の増強を招きます。
このような場合には、
左右対称性の重量がかかるバックパックなどが推奨されます。
まとめ
今回は、「側弯症」の治療において、リハビリテーションの効果について解説しました。
加齢によって生じる円背においてもそうですが、
脊柱の変形を是正するのは容易ではありません。
リハビリテーションでは、変形を矯正するのではなく、
あくまで進行を予防する、または二次的な障害を抑制するなどの目標で行うことが望ましいと考えられます。
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