変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?
変形性股関節症とは、関節軟骨の磨耗によって骨に変形をきたす疾患です。
下肢の機能の低下は、直接的に歩行障害などの日常生活動作を阻害します。
変形性股関節症の治療方法として、
最も代表的なものは【手術療法】です!
変形性股関節症は、
“関節軟骨の磨耗によって骨の変形をきたし、関節の可動域制限や疼痛を主症状とする慢性の退行性疾患”
なのです。
変形性股関節症に関する詳しい記事はこちらを参照ください!
→変形性股関節症って治るの?原因や症状、治療方法とは?
その治療法はいくつか挙げられます。
・薬物療法
・リハビリテーション
・日常生活指導
・手術療法
などがあります。
この中でも、上の3つは保存療法と言われ、症状の進行を防止、抑制することが目的となります。
一方、手術療法は関節変形の矯正や除痛が目的となり、唯一、構造的な改変が可能な方法です。
変形性股関節症のリハビリテーションに関する詳しい記事はこちらを参照ください!
→変形性股関節症や人工股関節全置換術後のリハビリテーションとは?
変形性股関節症に対する手術療法にはいくつかの種類があります。
・人工股関節全置換術
・寛骨臼回転骨切り術
代表的な手術療法は以上の2つが挙げられます。
そこで今回は、変形性股関節症の代表的な手術療法について、
方法ごとの特徴などを解説します。
人工股関節全置換術後のリスクに関する記事はこちらを参照ください!
→人工股関節置換術のリスクや合併症は?脱臼や血栓に注意!
人工股関節全置換術とは?
人工股関節全置換術は(Total Hip Arthroplasty:THA)は、変性した股関節を人工物で作られた関節に置換する手術です。
対象となる疾患は、変形性股関節症のみならず、関節リウマチや大腿骨頭壊死、骨折などがあります。
→大腿骨頭壊死とは?その原因や手術、術後のリハビリは?
→大腿骨頸部骨折|手術方法は|術後のリハビリテーション
変形性股関節症の場合であれば、日常生活に支障が生じている場合は、人工股関節全置換術が施行されます。
向かって、左側の股関節に人工股関節が置換されています。
基本的な構造は、ヘッド、ステム、ライナー、アセタブラーシェルでできています。
材質は基本的に金属やセラミック、ポリエチレンなどでできており、
骨盤側の臼蓋にはソケットが設置され、大腿骨側の骨頭が切除された部分にステムが挿入されます。
耐用年数は?
人工股関節は、現在でも飛躍的な発展を遂げており、その耐用年数も伸びていると言われています。
年齢や活動度などにも大きく影響を受けますが、
一般的に、現在では、
【30年以上持つ】と言われるものまで開発されています。
それでも、20年前後で緩みが生じることが多く、その場合は再置換を余儀なくされます。
リスクは?
どんなに優れた手術でもリスクは存在します。
人工股関節全置換術の手術に限らず、下肢の手術で生じやすいリスクは、
・血栓症
・感染症
です。
加えて、人工股関節全置換術に特有であり最大のリスクは、
【脱臼】です。
→人工股関節全置換術後の脱臼の原因や時期は?
→人工股関節全置換術[THA]|脱臼のメカニズムと予防方法
手術の際に、人工関節に置換する際に、大腿骨を一度骨盤の臼蓋側から脱臼させているのです。
術後早期は、関節周囲の筋肉や組織が未熟なために、特定の方向へ曲げた際に脱臼していますことがあるのです。
人工股関節全置換術のリスクに関する詳しい記事はこちらをご参照ください!
→人工股関節全置換術(THA)のリスクとは?脱臼・血栓症・感染に注意!
寛骨臼回転骨切り術とは?
寛骨臼回転骨切り術(Rotational acetabular osteotomy:RAO)は、骨盤側の臼蓋を骨切りし、大腿骨の骨頭を覆うように向きを調整します。
つまり、大腿骨頭を被覆できるように骨切りを行うのです。
向かって左が手術前で、右が手術後です。
大腿骨頭を覆うように、臼蓋が外側へ骨切りされているのが分かります。
人工股関節全置換術は、人工物がゆえに磨耗や緩みが生じたり、脱臼などのリスクがあります。
しかし、寛骨臼回転骨きり術は、そのような心配もなく、ある程度の可動性も保証されます。
再置換のリスクないために、比較的若く、活動量の多い人に適応となります。
※変形が重度であると適応にならない場合が多いです。
まとめ
今回は、変形性股関節症の代表的な手術療法について、方法ごとの特徴などを解説しました。
いずれの手術に関しても当てはまるのですが、
手術をしたら終わりではありません!
術後より、リハビリテーションが開始されます。
今後の日常生活の能力の程度を左右するといっても過言ではなく、十分に時間をかけて行う必要があります。
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