骨折の治癒過程「リモデリング」とは?
骨折とは、
“外力によって、骨が変形したり、破壊されたりする病態”です。
一度骨折をした場合は、
どのような過程を経て治癒するのでしょうか!?
「骨折」とは、
“直達外力または介達外力により骨が変形、あるいは破壊された病態”です。
構造の連続性が絶たれた状態のことを言います。
一概に骨折と言っても、
受傷の原因や部位、骨折線の入り方などによって
様々なタイプに分類されます。
これによって、保存療法か、あるいは手術療法などの
治療方針の決定がなされます。
骨折の分類に関する記事はこちら
→骨折とは何か?骨折の種類とは?
一度骨折した骨は、
欠損部を修復するのではなく、
「新しい骨に置き換わる」のです。
これを【リモデリング】と言います。
骨の形成と吸収が絶えず繰り返されていて、
古い骨から新しい骨へと生まれ変わるのです。
今回は、そんな骨折の治癒過程である「リモデリング」について解説します。
小児に特有の骨折はこちら
→小児の骨折の特徴とは?
骨折の治癒過程とは?
通常、皮膚や筋、内臓などの組織は、損傷や欠損を受けることで、
瘢痕組織を形成することで組織を修復します。
しかしながら骨では、瘢痕組織を形成するのではなく、
「新しい骨に置き換わる」のが特徴です。
これを【リモデリング】と言います。
リモデリングの過程は、
炎症期・修復期・再生期に分類され、それぞれの時期ごとに異なる治癒が促進されています。
この独自の再生能力によって、最終的には健常部と見分けがつかないくらいに外観・機能ともに回復するのです。
炎症期
炎症期とは、骨折初期に生じます。
文字通り腫脹や疼痛、熱感を伴う炎症症状を呈します。
この段階では、損傷を受けた軟部組織や骨のかけら、内出血した血液などが免疫系の細胞によって取り除かれます。
この免疫細胞の活動と血流量の増加によって、腫脹や疼痛を生じるのです。
炎症期は骨折後2~3日で活動のピークを迎えますが、治まるまでには数週間かかると言われています。
なお、この過程は全期間のうちの10%程度の期間を占めます。
修復期
修復期は、炎症期の後に生じます。
この時期は、炎症期に生じた血腫に新生血管が侵入し、軟骨芽細胞が仮骨を形成します。
形成された仮骨は柔らかく弾力があり、強度や安定性に欠けるため、容易に変形や転位をきたすことがあります。
時間の経過とともに仮骨は石灰化し、強度を増していくのです。
なお、修復期は数ヶ月続き、全体の40%の期間を占めます。
再生期
炎症期、修復期を経て最後に生じるのが再生期です。
この段階では、その骨が本来もっていた正常な形や構造が回復していきます。
余分な仮骨が少しづつ吸収されながら、強い骨に置き換わり、骨癒合が完成するのです。
→骨折の治癒!骨癒合にかかる日数とは?
→骨折の治癒「骨癒合」の促進方法は?
まとめ
今回は、骨折の治癒過程である「リモデリング」について解説しました。
実はこのようなリモデリングの過程は、
骨折の治癒過程のみならず、絶えず繰り返されているようです。
だいたい1年間に20〜30%程度の骨が作り変えられているようです。
完成されていると思った骨がこのような過程で改変されていることには驚きましたね。
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