「上腕骨顆上骨折」の症状とは?合併症に注意?
「上腕骨顆上骨折」は、
小児や子供に多い外傷性の骨折です。
上腕骨顆上骨折は、
骨折の転位の程度や、
腫脹の程度によって“合併症”を引き起こしやすい部位なんです。
「上腕骨顆上骨折」とは、
上腕骨の遠位部分に相当する“顆上部”の骨折で、
もともと骨が細くなっていることから脆弱な部分と言えます。
小児や子供の中でも、
“男児”に好発し、(男女比:2:1)
主に高所からの転落時に手を床について、
肘が反る方向(伸展)に強制された場合に受傷します。
上腕骨顆上部は、
すぐ近くに神経や血管の走行があるため、
転位や腫脹の程度によって、
“合併症”を招く恐れがあるため、注意が必要です。
そこで今回は、「上腕骨顆上骨折」の症状や合併症について解説します。
「上腕骨顆上骨折」の原因や治療法はこちら
→小児や子供に多い「上腕骨顆上骨折」とは?リハビリは?
「上腕骨顆上骨折」の症状とは?
「上腕骨顆上骨折」に出現する一般的な症状としては、
肘関節周囲の
・疼痛
・腫脹
・皮下出血
などの基本的な“炎症症状”が中心です。
また、骨折部の異常な動き(肘じゃない部分の動き)
が生じてしまうこともあります。
「上腕骨顆上骨折」の合併症とは?
「上腕骨顆上骨折」の中でも、
骨折時の骨の転位(ズレ)が大きい場合や、
腫脹が激しい場合には、
“合併症”が出現する場合があります。
上腕骨顆上部は、
・正中神経
・橈骨神経
・尺骨神経
・上腕動脈
と呼ばれる手指や上肢を支配する神経や、血管が存在します。
これらに引っかかったり、
または圧迫を受けるなどした場合には、
痺れや筋肉の麻痺などの“神経麻痺”が生じます。
(橈骨神経と正中神経に好発)
さらに、上腕動脈の圧迫や包帯などの過度の締め付けは、
血行障害を引き起こし、
前腕屈筋区画症候群(コンパートメント症候群)を生じさせます。
コンパートメント症候群はこちらを参考にしてください
→下腿に好発する「コンパートメント症候群」ってどんな疾患?
このような状態が長時間(6時間以上)続いた場合、
筋肉や神経の壊死が生じ、
“フォルクマン拘縮”という状態に陥り、
指を伸ばすことができずに、特有の変形を呈すことがあります。
→「フォルクマン拘縮」とは?コンパートメント症候群の一種?その特徴は?
また、一般的に小児の骨折は、
“自家矯正力”を持つと言われますが、
この骨折では、関節の運動と関係のない方向への変形なので、
“自家矯正力”は待たないのです。
「内反肘(ないはんちゅう)」などの変形に注意が必要です。
小児の骨折の特徴はこちら
→小児の骨折の特徴とは?
まとめ
今回は、「上腕骨顆上骨折」の症状や合併症について解説しました。
どの合併症に関しても、
上肢の“後遺症”を残存させる可能性があるため、
「ちょっとくらい遅くても大丈夫だろう…」
などと考えずに、早期の受診を心がけましょう。
「上腕骨顆上骨折」は合併症に注意!
→「フォルクマン拘縮」とは?コンパートメント症候群の一種?その特徴は?
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