腰椎圧迫骨折の保存療法!コルセットの効果とは?
急速な高齢化社会を迎えるわが国は、高齢者の増加に伴う医療費や社会保障費の問題が社会的な問題に発展している。
中でも有病者数が1,000万人を超えると言われる
「骨粗鬆症」は高齢者の代表的な疾患です。
このような骨の脆弱性を呈す高齢者が招きやすい骨折の最も代表的な疾患として
【腰椎圧迫骨折】が挙げられます。
腰椎圧迫骨折は、脊柱の中でも下位に存在する腰椎の椎体の骨折です。
文字通り圧迫による外力によって受傷しやすいのですが、
転倒や転落だけでなく、くしゃみや特別な誘引なく受傷することもあるのが特徴です。
腰椎圧迫骨折に関する詳しい記事はこちらも参照ください!
→腰椎圧迫骨折とは?原因や症状、治療方針は?
腰椎圧迫骨折の治療法の第一選択は、
【保存療法】です。
保存療法では、積極的な治療を施すのではなく、まずは安静により骨癒合を待つというものです。
と同時に、疼痛コントロールのための投薬治療や、全身的な体力低下の予防のためのリハビリテーションを併用します。
腰椎圧迫骨折の手術に関する詳しい記事はこちら
→腰椎圧迫骨折の手術療法とは?その種類は?
ここで、重要なのは、
“これ以上症状を悪化させない中で、これらの治療を行わなければならない”ということです。
ここで活躍するのが、【コルセット】です。
コルセットはご存知の通り、腰に巻いて腰痛を軽減するというもの。
果たして、コルセットは腰椎圧迫骨折に対してどのような効果を発揮するのでしょうか!?
そこで今回は、腰椎圧迫骨折の保存療法で使用されるコルセットの効果に迫ります!
腰椎圧迫骨折の分類方法に関する記事はこちらを参照ください!
→腰椎圧迫骨折の診断や判定方法は?分類方法はある?
コルセットってどんなもの?その種類は?
コルセットとは、ご存知の通り、腰から腹部、さらには胸部までを覆う巻物です。
腰椎圧迫骨折において第一選択となる保存療法では必須の装具となります。
コルセットの種類には、大きく分けて
・硬性コルセット
・軟性コルセット
があります。
硬性コルセット
軟性コルセット
硬性コルセットは、軟性コルセットに比べてより強固で体幹の動きを制動します。
腰椎圧迫骨折だけでなく、より重症度の高い「椎体破裂骨折」などにも適応となり、より体幹の動きを制動したい場合に用いられます。
また、いずれも腰(骨盤部)から固定するのが原則であり、上部の長さは骨折の部位によって長短の調整がなされます。
例えば、腰椎ではなく、胸椎の圧迫骨折をきたした場合は、胸の部分まで覆うほどの長さで体幹の運動を制動します。
腰椎圧迫骨折の好発部位や再発リスクに関する記事はこちらを参照ください!
→腰椎圧迫骨折の好発部位は?再発のリスクはどのくらい?
コルセットの効果は?
では、一体コルセットはどのような効果を発揮するのでしょうか!?
コルセット装着の最大の目的は、
【骨折部への力学的な負荷を軽減すること】にあります。
腰椎圧迫骨折の場合、多くが椎体の前面に対する圧迫力が加わり受傷した例が多く、再びそのような機械的な刺激が加わると、再受傷の危険が非常に高いのです。
そのため、コルセットにより、特に体幹の【屈曲運動】を制限し、腰椎に加わる負荷の軽減を図ります。
これには、
・脊柱変形の防止
・偽関節の予防
などの効果も含まれています。
このように、物理的な安定を図ったうえで、骨癒合を待ち、全身的な体力や筋力低下がないようにリハビリテーションなどで運動療法を進めていくことが腰椎圧迫骨折の保存療法のセオリーといえるでしょう。
腰椎圧迫骨折のリハビリテーションに関する詳しい記事はこちら
→腰椎圧迫骨折のリハビリテーション方法や禁忌事項とは?
リハビリテーションの評価に関する記事はこちら
→腰椎圧迫骨折におけるリハビリテーションの評価項目は?
まとめ
今回は、腰椎圧迫骨折の保存療法で使用されるコルセットの効果を解説しました。
コルセットは、身体の動きを制限する窮屈なものであると同時に、夏などは蒸れて装着したくないという人も多いでしょう。
しかしながら、どんなに無理な動きが入らないよに努力しても、骨折部には多大な負荷がかかってしまうのです。
まずはコルセットを装着した中で、適切な負荷の運動を地道に続けることが、骨癒合への近道といえるでしょう。
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