腰椎圧迫骨折におけるリハビリテーションの評価項目は?

    
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腰椎圧迫骨折は、骨粗鬆症などを有する高齢者に頻発する骨折です。

受傷機転は、転倒だけでなく、特別な誘引もなく発症することも少なくありません。

加えて、再発のリスクも高く、リハビリテーションでは身体機能の評価はもとより、
その方の生活歴を含めた包括的な評価が必要となります。

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腰椎圧迫骨折は、脊柱の中でも下位に位置する腰椎の椎体の骨折です。

「圧迫」という文字通り、圧迫力が加わることで骨が圧壊し、受傷します。

転倒や転落はもとより、くしゃみや着座で受傷することもあるのです。

腰椎圧迫骨折に関する詳しい記事はこちら
腰椎圧迫骨折とは?原因や症状、治療方針は?

 

腰椎圧迫骨折の治療法は、

・保存療法
・手術療法

に大別されますが、多くの場合は【保存療法】が選択されます。

 

この保存療法には、投薬治療リハビリテーションが含まれます。

再発のリスクが高いと言われる腰椎圧迫骨折には、再発予防のための運動療法や日常生活動作指導を実施するリハビリテーションが非常に重要なのです。

腰椎圧迫骨折に対するリハビリテーションの記事はこちら
腰椎圧迫骨折のリハビリテーション方法や禁忌事項とは?

 

このような再発予防の観点から腰椎圧迫骨折を観た場合、より詳細な身体機能評価と、趣味や習慣などの生活歴などの情報を包括した評価が必要です。

そこで今回は、腰椎圧迫骨折におけるリハビリテーションの評価項目について解説します。

腰椎圧迫骨折におけるリハビリテーション評価項目

腰椎圧迫骨折におけるリハビリテーションの評価項目を以下に記載します。

年齢や性別などの基本情報は当然のものとして割愛します。

また、ここに記載したもの必ずしも必要というわけではなく、全てというわけでもありません。

一つ例として参考にして頂けたら幸いです。

 

 

受傷機転

受傷機転には、

尻もちなどの転倒や重量物の運搬、急激な着座、くしゃみ、振動、何もしていないのに…
などなど様々です。

受傷機転の原因を追求することは、再発予防に最も重要です。

なぜなら、骨自体が強くなったり、骨を保護する筋力が改善しない限り、同じことをしたら再発するからです。

腰椎圧迫骨折の好発部位は?再発のリスクはどのくらい?

 

 

生活歴・生活習慣

生活習慣の中に、受傷機転などと密接に関係のある危険因子がある場合が多いです。

特定の趣味や習慣的に行っている行動など、日常生活の中での行動を把握し、適切に分析することが大事です。

例えば、夜間のトイレの回数や、その時の投薬状況、視力の程度などより具体的に聴取することが大事です。

 

 

画像評価

画像評価は、X線では骨折が急性期なのか陳旧性のものなのかが区別できないので【MRI】を確認しましょう。

そして、ここでチェックするべきは、骨折の部位です。

脊柱の高位はもちろんのこと、

「椎体の前方なのか、真ん中なのか、後方なのか」を確認します。

これによって、体幹の屈曲・伸展どちらで再発リスクが高まるのかを把握します。

腰椎圧迫骨折の分類方法に関する記事はこちらを参照ください!
腰椎圧迫骨折の診断や判定方法は?分類方法はある?

 

 

疼痛評価

一般的には、体動時、それも座位や起立などの抗重力位になった際に強い疼痛を認めることが多いです。

しかしながら、必ずしもそうではなく、寝返りや起き上がりで増強する場合なども認めるため、

どういった動作で、
どこが、
どういたいのか?

などと具体的な聴取が必要です。

疼痛の強度に関しては、

【Visual Analog Scale(VAS)】
【Western Ontario and Mcmaster Universities Osteoarthritis index(WOMAC)】

などが一般的です。

 

 

脊柱の可動性や筋力評価

急性期に関しては、脊柱自体の運動が制限されます。

※急性期はコルセットなどを使用し、力学的負荷を抑制しながら骨癒合を待ちます。
腰椎圧迫骨折の保存療法!コルセットの効果とは?

 

急性期が過ぎ、陳旧性の骨折の場合などには脊柱の可動性の評価は重要です。

脊柱固有の可動性が残存している場合、背筋や腹筋群の筋力強化によってアライメント自体の改善の余地があるからです。

 

筋力評価に関しては、抗重力に抗して頭部の居城などが可能か確認するとともに、上下肢などの全身的な筋力を評価することも歩行の獲得に向けて重要です。

 

 

神経学的評価

腰椎椎体の骨折が後方の脊髄まで及ぶような初見の場合、神経学的な初見の評価が必要です。

・痺れ
・筋力低下
・筋緊張
・深部腱反射

などの評価に加え、膀胱直腸障害などの評価も重要です。

また、慢性期の遅発性脊髄損傷なども念頭におく必要があります。

 

 

バランス評価

腰椎圧迫骨折を呈す場合、もともと強い円背姿勢を呈していた場合や、骨折によってさらなる円背が助長された場合とがあります。

このような身体のアライメント不良は、体幹を中心とした立ち直り反応予測的な姿勢制御に影響を及ぼし、結果としてバランス能力の低下を招きます。

バランス能力の評価として代表的なものは、

【Berg Balance Scale(BBS)】
【Functional Reach Test(FRT)】

などが用いられています。

 

 

まとめ

今回は、腰椎圧迫骨折におけるリハビリテーションの評価項目について解説しました。

いずれも、現状の機能だけでなく、腰椎圧迫骨折に至った経緯までをも捉える重要な評価です。

機能の回復だけを目指すのではなく、再発予防も含めた効果的なアプローチを行いましょう。

 


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