脊髄損傷の歩行における装具やロボットの種類は?

    
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脊髄損傷とは、

“脊椎の中を走行する脊髄の損傷”です。

損傷レベルの機能に応じた

運動麻痺や、感覚障害が生じます。

様々な日常生活動作が障害を受けますが、損傷レベルによっては

歩行獲得が可能となります。

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脊髄損傷とは、

身体の運動や感覚を支配している神経の束である、

「脊髄」の損傷によって生じます。

 

損傷レベルに応じて、その機能が分断されてしまうのです。

損傷高位が高ければ高いほど、損傷が大きく

残存機能や能力、そして予後として獲得できる動作の多くが左右されます。

脊髄損傷における損傷レベルごとの残存機能や能力とは?
脊髄損傷における主要残存筋と、その機能とは?

 

 

脊髄損傷の機能回復や日常動作の再獲得の過程において

「リハビリテーション」が適応となります。

その中には、当然、立位や歩行の獲得を望む人も多く、

事実獲得に至る人も少なくありません。

しかしながら、完全麻痺した下肢そのものでの歩行獲得は難しく、

必要に応じて装具やロボットの装着を余儀なくされます。

脊髄損傷における完全麻痺と不全麻痺の判定方法は?

 

 

先にも述べたように、

歩行獲得が可能となる損傷の高位レベルはある程度決まっており、

必要となる装具やロボットもそのような損傷高位レベルに左右されます。

そこで今回は、脊髄損傷の歩行における装具やロボットの種類について解説します。

脊髄損傷のリハビリテーションはこちら
脊髄損傷のリハビリテーション「関節可動域訓練」の目的や方法は?
脊髄損傷のリハビリテーション「プッシュアップ」に必要な筋とその機能とは?

損傷レベルごとの下肢装具や杖の適応は?

参考までに損傷レベルごとの下肢装具や杖の適応に関してです。

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なお、実用レベルでの歩行獲得に至るのは、

「Th10」と言われており、

LLBとロフストランド杖を使用した歩行となります。

 

 

歩行における装具やロボットの種類は?

以下に紹介する装具は基本的に完全対麻痺者に対するものとして使用されています。

 

外側系の長下肢装具

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外側系の長下肢装具とは、

股継手が大腿の外側にあるものを言います。

欧米などでは主流で、

・reciprocating gait orthosis(RGO)
・hip guidance orthosis(HGO)

などがあります。

 

これらの利点は、

生理的な股関節軸の位置と近い位置に継手を有していることから、

より生理的な歩行に近い歩容が望めます。

一方で、

・立位の安定性が乏しい
・歩行時のエネルギー消費が大きい

などといった欠点もあります。

 

 

内側系の長下肢装具

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内側系の長下肢装具とは、

股継手が大腿の外側にあるものを言います。

 

1992年にオーストラリアにて開発された

・Walkabout

が内側系の長下肢装具の始まりです。

Walkaboutは、立位の安定性に優れています。

 

しかしながら、生理的な股関節軸と継手の軸との乖離があり、

歩行の際に十分な歩幅が得られないという欠点もありました。

そこで、この欠点を改善するために開発された装具が

・Prime walk

です。

このPrime walkは、実際の股関節の運動軸に近い仮想運動軸を有しているために、

Walkaboutで生じた問題が解消されたのです。

 

 

歩行補助ロボット

近年ではロボット工学の進歩が著しく、

医療分野や福祉分野への応用も多数行われています。

 

先ほどまでに述べた長下肢装具には、幾つかの課題が指摘されており、

・力源がない
・膝や足関節が不動

などの理由から、

歩行における上肢負担の大きさ

車椅子からの起立・着座が困難などという課題があります。

 

そこで開発されたのが、

歩行装具の外骨格部分をロボット化し、力源を配置した

・Wearable Power-Assist Locomotor(WPAL)

です。

歩行における動力の補助はもちろんのこと、

車椅子との共存が可能であり、

日常生活での長期的な使用が可能である点において優れているそうだ。

 

脊髄損傷に関する記事はこちら
中心性脊髄(頸髄)損傷とは?その症状やリハビリテーション方法は?
脊髄損傷の合併症とは?褥瘡や異所性骨化に注意!

 

 

 

まとめ

今回は、脊髄損傷の歩行における装具やロボットの種類について解説しました。

対麻痺者に対する歩行訓練は、もちろん身体的な要因での目的もありますが、

何よりも精神的な要素が大きいと感じます。

「今までと同じ目線で歩くことが出来る」

そんなことを実現できる装具やロボットの発展にますます期待しています。

気になる脊髄損傷の再生医療はこちら
脊髄損傷の再生医療とは?


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