変形性足関節症の手術後のリハビリテーションは何をする?
変形性足関節症は、
足関節を構成する骨の磨耗や変性により、主に変形や疼痛を主症状とする疾患です。
関節リウマチや外傷などの後に発症する二次性の要因が多数であると言われています。
保存療法、手術療法いずれかの治療が選択されますが、
日常生活の再獲得に向けて重要となるのは、
リハビリテーションです。
変形性足関節症とは、
“足関節の軟骨が摩耗し、関節の裂隙が狭小化し、骨同士が擦れ合うことで変形や疼痛を生じる疾患”です。
歩行などの移動を中心とした動作制限が生じ、日常生活も高度に障害を受けることがあります。
変形性足関節症に関する詳しい記事はこちら
→変形性足関節症とは?原因や症状、治療方針は?
変形性足関節症の治療方法には、
・保存療法
・手術療法
が存在します。
変形や疼痛が重度の場合には、手術療法が適応となり、重症度や年齢に合わせて、人工足関節全置換術や足関節の固定術がなされます。
変形性足関節症に対する手術療法の詳しい記事はこちら
→変形性足関節症の手術療法とは?どんな種類がある?
保存療法においても、手術療法においても日常生活動作の再獲得には【リハビリテーション】が重要となります。
特に手術療法の後には、足関節の関節可動域や筋力などの機能改善や、立位・歩行などの動作訓練が適応となります。
そこで今回は、変形性足関節症の術後のリハビリテーションについて詳しく解説します。
変形性足関節症の術後のリハビリテーションの実際
変形性足関節症に対する手術療法では、年齢や重症度、活動量に合わせて
・人工足関節全置換術
・固定術
のどちらかが行われるのが一般的です。
変形性足関節症に対する手術療法の詳しい記事はこちら
→変形性足関節症の手術療法とは?どんな種類がある?
いずれの手術後にも、術側下肢には「荷重制限」がかけられることが多く、完全免荷から開始し、徐々に荷重量を増加させていく経過を辿るのが一般的です。
※荷重スケジュールに関しては主治医の方針により決められます。
そのため、免荷時期から一貫した目標に向かってリハビリテーションを実施する必要があります。
以下に実際に行う理学療法の例を紹介します。
関節可動域訓練
多くの場合、免荷期間中は関節可動域訓練においても制限がかけられます。
これは、手術により修正したアライメントを崩さないようにし、時間をかけて骨癒合を待つからなのです。
だからと言って、何もしないわけではありません。
足関節の関節可動域は制限がかけられていても、
・DIP関節
・PIP関節
・MP関節
・リスフラン関節
などなど、足にはたくさんの関節が存在し、これらの可動性こそが、今後の足部機能改善の鍵となります。
特に固定術などが行われた場合には、これらの関節による代償運動が必須となります。
術後の腫脹や疼痛、荷重制限から不動に陥り、硬くなりやすい足部は術後早期からアプローチが必要です。
なお、荷重制限が改善される時期に合わせて、自動運動による関節可動域訓練が開始されます。
筋力増強訓練
関節可動域訓練同様に筋力増強訓練においても初期には制限がかけられます。
足関節は、安静にて固定期間が設けられるため、主に足趾の運動から開始します。
荷重が開始された時期に合わせて
自動運動による底屈・背屈運動から抵抗運動に移行していきます。
なお、足関節以外にも荷重や歩行に向けて下肢全体の筋力増強訓練も並行して行っていきます。
下肢伸展挙上(SLR)運動や大腿四頭筋のセッティング(Quad Setthing)運動などは早期から行いましょう。
下肢伸展挙上(SLR)運動
大腿四頭筋のセッティング(Quad Setthing)運動
立位・歩行訓練
下肢への荷重は、通常6週〜7週程度から開始される場合が多いです。
1/3部分荷重から、1/2部分荷重、2/3部分荷重、全荷重と一週間ごとに荷重量を増加されていきます。
※荷重スケジュールは骨癒合の程度や術創部の治癒の状況に合わせて決定されます。
体重計などで荷重量を確認しながら行いましょう。
なお、荷重訓練は、足部に過度の運動が生じアライメントが崩れないように固定用の装具を使用します。
「バコペット」と呼ばれ、アキレス腱断裂などにも用いられる装具です。
荷重訓練が進めば、徐々に歩行訓練を開始します。
平行棒内から松葉杖訓練、一本杖歩行訓練、独歩訓練と荷重量に合わせて徐々に進めていきましょう。
変形性膝関節症や変形性股関節症に対するリハビリテーションの記事はこちら
→【変形性膝関節症】TKA術後のリハビリテーションって何をするの?
→変形性股関節症や人工股関節全置換術後のリハビリテーションとは?
まとめ
今回は、変形性足関節症の術後のリハビリテーションについて解説しました。
その一般的な経過の中で行われる訓練の例を提示しましたが、これが全てではありません。
個々の症状に合わせてオーダーメイドの訓練が行われます。
「手術が成功したから大丈夫」なのではなく、その後の生活を視野に入れ、日常生活動作能力向上を目的にリハビリテーションが適応となるのです。
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