人工股関節全置換術(THA)後の脱臼は再手術が必要?その後のリハビリは?

    
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人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)には、

“脱臼”という最大にして高頻度なリスクが存在します。

 

もし、脱臼をきたした場合は、

どのように治療を行うのでしょうか!?

 

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人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は、

変形性股関節症や関節リウマチによる、

股関節の病変に対する標準的な手術療法です。

 

変性や変形が生じた股関節を

人工の股関節に置換する方法であり、

毎年何万人もの患者が手術を受けています。

変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?
変形性股関節症や人工股関節全置換術後のリハビリテーションとは?

 

除痛や変形の解消などが期待され、

歩行をはじめとする日常生活動作に大きな改善が得られますが、

重大なリスクとして“脱臼”があります。

 

“脱臼”に関する詳細な解説はこちらをご確認下さい
人工股関節全置換術後の脱臼の原因や時期は?

 

どれだけ注意をしていても、

残念ながら脱臼は生じてしまう可能性があります。

 

では、一体脱臼をした場合、どのような治療を受けるのでしょうか!?

また、その際は再びリハビリテーションなどを行う必要があるのでしょうか?

“脱臼”後の治療法の選択肢はこの二つ!

THA脱臼の場合、

まずその場で足をついて歩くことは難しく(痛いし、力が入らない)、

大抵の場合、救急車で病院に搬送されます。

 

その後、病院でレントゲンなどを撮影し、

実際に脱臼していることを確認し、治療を行います。

 

この時の治療の選択肢は二つ!

・徒手整復
・再手術

です。

 

それらの選択肢は、

何回目の脱臼なのか…?

年齢や活動度はどれくらいなのか…?

そもそも手術時の人工関節設置に問題があったのか…?

などなど、様々な要因から判断されます。

 

そのため、出来れば自分がTHAを実施した病院で診てもらう方が、

これまでの経過やキャラクターまで知ってもらえているので良いでしょう。

 

では、それらの治療法は実際にどのように行われるのでしょうか?

 

 

 

徒手整復

徒手整復とは、文字通り医師によって徒手で整復することです。

全身麻酔下で行う場合と、そうでない場合があります。

 

方法としては、骨盤を固定し、

脱臼側の下肢を牽引を加えながら脱臼肢位に準じて操作しながら行います。

(後方脱臼=屈曲・内転・内旋)

 

そのため徒手整復そのものも、医師一人で行うのではなく、

数人で固定と操作とに別れて行います。

 

ここにも、易脱臼性によって整復の容易さには差があります。

 

ただし、一度脱臼した場合は、脱臼するために“道”ができてしまうため、

徒手整復で戻しただけでは再脱臼のリスクも比較的高いと言えます。

そのため、徒手整復後数ヶ月や数年に渡り、外転装具と呼ばれる脱臼予防器具を装着して生活することが推奨されます。

 

 

 

再手術

 再手術では、

臼蓋側のカップを再置換する方法や、

ライナーのみを交換する場合など、個々によって方法も異なります。

 

例えば前者は、

元々のカップの向きが不良であった場合(前方開角や外方開角)などに適応となります。

 

一方後者は、

カップの向きなどは問題ないものの、

脱臼によってライナーが破損した場合や、すり減りがあった場合などに交換を行います。

 

当然ながら徒手整復での整復よりも

再脱臼の割合は少なくなります。

ただ、皮膚や筋に対して2回目の侵襲ということで、可動域などがやや回復しにくいなどの点もあります。

 

 

 

徒手整復、再手術の後もリハビリテーションは必要?

結論から言うと、

行うべきであると言えます。

 

脱臼を起こしてしまった要因に、

少なからず脱臼肢位を守れなかったり、忘却していたために生じてしまうこともあります。

 

そのため、再度禁忌肢位の理解を深めるため

リハビリテーションとしての指導を受けると良いでしょう。

 

また、再手術であった場合、

筋力の強化や関節可動域の再獲得なども脱臼の予防に重要なポイントとなります。

 

 

 

まとめ

今回は、THA後の脱臼をした場合、どのような治療を受けるのか!?

また、その際は再びリハビリテーションなどを行う必要があるのか?

などについて解説しました。

 

どちらの治療法を選択するかは医師の判断によりますが、

脱臼の知識を身につけ、筋力を回復させ、脱臼予防に努めましょう。


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