人工股関節全置換術(THA)の「脱臼」の主要な4つの原因とは?

    
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人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:以下THA)は、

変形性股関節症に対する標準的な手術療法です。

 

除痛や関節可動域の拡大などに有効ですが、

最大の欠点とも言える「脱臼」に注意が必要です!

 

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・変形性股関節症
・突発性大腿骨頭壊死
・関節リウマチ(RA)
・骨折  etc

これらの疾患に対する手術療法として、

THAが挙げられます。

 

 

THAは、

変性し磨耗した骨を人工物に入れ替える手術であり、

除痛を主として関節可動域の拡大や変形の矯正などに効果があり、

日常生活活動の改善が見込まれます。

 

 

しかしながら、

その手術方法や、構造故に、

特定の肢位になることによって、

人工股関節が外れる、いわゆる「脱臼」のリスクが存在します。

「脱臼」の時期や禁忌肢位などはこちらを参照下さい!
人工股関節全置換術後の脱臼の原因や時期は?

 

 

「脱臼」が生じる割合は、

初回手術後:2-3%
再置換術後:4-6%

程度と言われています。

 

 

必ずしも全員が脱臼するわけではありません。

誤って禁忌肢位を取ってしまうことで脱臼してしまうのはもちろんですが、

それ以外にもいくつかの“原因”が存在します。

 

 

そこで今回は、人工股関節全置換術(THA)の「脱臼」の主要な4つの原因について解説します。

「脱臼」の主要な4つの原因

軟部組織の緊張の低下

THAの手術では、

大腿骨頭部分の切除や、臼蓋へのカップの設置を行う必要があり、

人体への侵襲が必須となります。

 

(後方アプローチの)多くは、

大腿筋膜や大臀筋などの筋の切開に加えて、

梨状筋などの外旋筋や、関節包などの切開が必要です。

 

インプラントの設置完了後には、

それらの縫合を行いますが、

術後早期にはそれらの張力が低下しており、

結果として大腿骨頭とカップとの求心力が低く、

「脱臼」を引き起こしやすい状態となるのです。

 

 

 

股関節周囲筋力の低下(外転筋)

軟部組織の緊張と同様に、

より浅層に位置する筋の筋力も重要です。

 

特に股関節外転に寄与する中臀筋などの筋肉は、

外側から大腿骨頭を求心位に保つ機能を有するため、

早期から筋力強化が重要となります。

 

 

 

インプラントの設置角度の不良

インプラントの設置不良は、

手術自体の問題で生じる「脱臼」の原因の一つです。

 

臼蓋側に設置するカップの位置は、

通常は医師が経験や知識から決定し設置します。

 

このカップの設置角度は、

外側に開いている角度を“外方傾斜角”と言いますが、

この外方傾斜角が50°以上となると脱臼のリスクが高いと言われます。

 

同様に前方へ開いている角度を“前方開角”と言いますが、

前方開角は、通常10°-20°ですが、これよりも大きく逸脱すると脱臼のリスクが高まります。

 

 

 

骨やインプラントの衝突

骨やインプラントの衝突というのは、

・骨
・インプラント

それぞれが何らかの原因で衝突し、

衝突した点が支点となって「脱臼」を引き起こします。

 

骨の場合には、

インプラントを設置した周囲に“骨棘”などが存在していた場合、

インプラントの頸部の部分が当たり、

支点となることで「脱臼」のリスクが高まります。

 

インプラントの場合には、

骨頭部分とヘッドとのあたりによって引き起こされます。

ヘッドが小さい場合、骨頭径が短くなり、

より小さな関節の可動によってヘッドとネックが衝突することで支点となり「脱臼」のリスクとなります。

【変形性股関節症】
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まとめ

今回は、人工股関節全置換術(THA)の「脱臼」の主要な4つの原因について解説しました。

脱臼肢位を取ることはもちろんハイリスクなのですが、

今回まとめたような身体的、または手術で生じた原因が存在していることで、

よりリスクが高まるのです。

【変形性股関節症】
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