「顔面神経麻痺(ベル麻痺)」の後遺症や予後とは?
「顔面神経麻痺」
言葉の通り、“顔面に生じる運動麻痺”です。
食べる、笑う、目の開閉などの機能的な側面はもとより、
美容的な面でも後遺症は残したくないものです。
「顔面神経麻痺」とは、
“顔面神経の麻痺によって生じる顔面筋の運動麻痺”
です。
その中でも、原因が明らかでないものを「ベル麻痺」と言い、
「顔面神経麻痺」全体の中でもおよそ8割を占めています。
顔面神経の麻痺によって生じる症状は、
通常一側性に出現し、
・目が閉じれない
・口に含んだ水が溢れる
・うまく笑えない
など、様々です。
その治療方法は、“薬物療法”に加えて、
顔面筋の機能維持・向上を目的とした
“リハビリテーション”が実施されます。
この”リハビリテーション”こそが後遺症が残らないために重要なことですが、
疾患の重症度や予後の如何によっては、
後遺症が現れることがあります。
そこで今回は、「顔面神経麻痺(ベル麻痺)」の後遺症や、その予後について解説します。
「顔面神経麻痺」に関する基本情報はこちら
→「顔面神経麻痺(ベル麻痺)」の原因や症状、治療法とは?
「顔面神経麻痺」の後遺症とは?
「顔面神経麻痺」は、
当然ながら症状が軽度であれば後遺症を残さずに軽快しますが、
症状が重症であれば後遺症を残す可能性も高くなります。
具体的には以下のような後遺症が存在します。
(1)病的共同運動
病的共同運動とは、
“ある一つの筋を動かそうとすると、意図せず他の筋も動いてしまう状態”
です。
例えば、「目を閉じたのに、同時に口角が引きあがる」ことなどが挙げられます。
顔面神経の神経支配は、密接かつ入り組んで走行しているため、
何らかの原因で神経が迷入し、誤った接続をしてしまうことで生じます。
特にリハビリテーションにおける、
運動の仕方によってこのような状態を招くため注意が必要です。
詳しくはこちらを参考にしてください!
→「顔面神経麻痺(ベル麻痺)」のリハビリテーションとは?守るべき注意点とは?
(2)顔面筋の拘縮
顔面筋の拘縮とは、いわゆる
“筋が固まって動かなくなること”
です。
神経麻痺による不動によって、
顔面筋が動かされない、または持続的に収縮している状態が続くと、
筋は固まり動かなくなってしまうのです。
(3)ワニの涙
ワニの涙とは、
“食事の際に多量の涙が分泌される現象”
です。
病的共同運動と同様に、
神経の迷入などにより誤った神経接続がなされることで生じます。
ワニは食べ物を食べる際に、涙が出るためにこのような命名がされています。
(4)顔面の痙攣
顔面の痙攣とは、
麻痺した側の顔全体に及ぶ場合と、
目や口の周りといった局所に生じるものがあります。
強い症状を呈すわけではありませんが、
生じる原因は不明です。
「顔面神経麻痺」の予後は?
「顔面神経麻痺」の予後は、
“ベル麻痺”に限っては良好であるとされています。
多くは、発症より3週間以内に回復の兆候を認め、
2/3程度の患者で完全回復が認められるそうです。
前述したような後遺症を残すのは、
初期症状より完全麻痺が生じていたりと、
神経症状の程度が重度である場合がほとんどです。
また、10歳以下の若年者では予後がよく、
60歳以上の高齢者では、予後は悪かったという研究結果もあるそうです。
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