「部分荷重訓練」とは?その目的や効果とは?

    
Pocket

スライド37

 

「部分荷重訓練」

骨折の手術後などのリハビリテーション場面でよく耳にする言葉です。

そもそも「部分荷重訓練」とはどんな訓練なのでしょうか?

 

スポンサーリンク

 

「部分荷重訓練」とは、

“段階的に荷重量を増加させながら下肢に荷重をかける訓練”

です。

 

 

骨折や、靭帯損傷、変形性関節症の手術後などの整形外科疾患において、

骨や靭帯の転位を予防し、骨の癒合や再生を待つ期間であり、

骨折部にかかる“圧縮応力”を減らすことを目的とします。

 

 

加えて、段階的な荷重は、

“骨の癒合を促進する”方法として位置付けられています。

 

 

そこで今回は、「部分荷重訓練」の目的や方法、その効果について解説します。

骨折とは何か?骨折の種類とは?
骨折の治癒!骨癒合にかかる日数とは?

「部分荷重訓練」とは?

部分荷重訓練は、

骨折や、靭帯損傷、変形性関節症の手術後などの整形外科疾患に対して、

患肢の荷重量を段階的に増加させていく訓練方法です。

 

具体的には、

変形性股関節症の手術後
変形性足関節症の手術後
大腿骨頸部骨折後の手術後
・不安定性の強い大腿骨骨折の手術後
・下肢の靭帯損傷の手術後

などで行われることが多いです。

 

ただし、これらの判断は、転位などの骨折の重症度や年齢、活動量、認知機能などから、

医師が総合的に判断した結果、処方される訓練方法です。

 

 

 

「部分荷重訓練」の目的は?

部分荷重訓練の目的は、

“患肢にかかる圧縮応力を減少させる事”

です。

 

部分荷重訓練が行われる状態は、

骨の癒合が十分ではなく、過度な荷重が転位を引き起こす事などもあるのです。

 

 

 

「部分荷重訓練」の方法は?

荷重訓練においては、以下のような段階的なステップを踏んでいく事が多いです。

 

 

免荷(non weight bearing:NWB)

接地(touch)

部分荷重(partial weight bearing:PWB)

全荷重(full weight bearing:FWB)

 

 

この中でも部分荷重は、自己の体重を基準として、

1/3部分荷重、1/2部分荷重、2/3部分荷重といったように段階的に荷重量を増加させます。

 

例えば体重が60kgの人であったら、患肢にかける体重の量は、

20kg→30kg→40kgといったように、体重計などで確認しながら荷重を増やしていくのです。

 

ただし、これらの荷重量は、

X線(レントゲン)や骨折部の状態などから医師が判断し、決定されます。

 

 

 

「部分荷重訓練」の効果は?

部分荷重訓練は、

“骨の転位を生じないように過度な荷重を控える”

ということだけでなく、荷重を行うことで、プラス面として生じる様々な効果が存在します。

 

 

 

骨癒合を促進する

やや矛盾するようですが、

過度な荷重ではなく、骨の状態に合わせた部分荷重訓練では、

骨折部の癒合を促進する効果があります。

骨折の治癒「骨癒合」の促進方法は?

 

 

 

歩行の準備ができる

1ヶ月間の免荷期間を経て、全荷重歩行開始…

さて、すんなり歩くことが出来るでしょうか!?

 

部分荷重訓練では、

足底からの感覚入力や、筋力発揮などの面に関して、

歩行に類似した点が多く存在し、

全荷重歩行が開始になった際にスムーズな荷重が行える場合が多いです。

 

 

 

疼痛部位の確認ができる

部分荷重訓練を行っておくことで、出現しやすい疼痛の部位などの確認が可能です。

そのため、全荷重歩行になってからではなく、事前に疼痛に対する対処も可能となります。

 

 

 

全身的な機能低下の予防ができる

免荷での松葉杖歩行よりも、部分荷重での松葉杖歩行の方が、難易度としては低く、

松葉杖移動の苦手な高齢者においても、ADLのアップを図ることが可能です。

 

このようなADLのアップは全身的な体力や筋力などの機能低下の予防や、

患肢の廃用性の筋力低下の予防などを図ることできます。

廃用症候群とは!?原因や予防方法は?リハビリで治る?

 

 

 

まとめ

今回は、「部分荷重訓練」の目的や方法、その効果について解説しました。

適切な荷重量のコントロールは、

患者の回復を促進し、スムーズな歩行獲得に欠かせないのです。


スポンサーリンク
Pocket