「墜下性跛行」ってどんな歩行?その原因や対策は?
疼痛や筋力低下など、
下肢に何らかの機能障害が生じた場合に、
いわゆる正常歩行とは違った歩容が観察されることがあります。
脚をひきづったり、かばうようにして歩いたり…
このような歩行の状態を「跛行」と言います。
「跛行」とは、
“外傷、奇形、その他の疾患により正常な歩行ができない状態”
と定義されます。
下肢の骨などのに生じる構造上の変化はもちろんのこと、
筋力低下や関節可動域制限、さらには疼痛や不安なども要因となり、
跛行が生じることがあります。
跛行そのものは、上記に挙げたような原因の結果として生じるものです。
しかしながら跛行を続けることは、
画一的な動作パターンによって動作のバリエーションが制限されたり、
身体に対して偏った負荷をかけることにより二次的な障害を招くこともあります。
今回は、「跛行」の中でも股関節疾患を罹患した際に生じやすい
「墜下性跛行」について、その現象や原因や対策を解説します。
「墜下性跛行」とは?
「墜下性跛行」には、
以下の二つの跛行があります。
・硬性墜下性跛行
・軟性墜下性跛行
まず、【硬性墜下性跛行】は、
“脚長差がある場合に、短縮側の下肢に荷重をする際に骨盤または肩が下降する現象”
です。
一方、【軟性墜下性跛行】は、
“荷重時に立脚側と反対に骨盤が下降する現象”
です。
いずれの場合にも、骨盤が”墜落するように”下降することから、このような名称が付いているようです。
「墜下性跛行」の原因は?
「墜下性跛行」の原因は、
硬性墜下性跛行、または軟性墜下性跛行それぞれで異なります。
【硬性墜下性跛行】の場合、
脚長差が生じている場合に生じることがあります。
一般に3cmの脚長差で生じるとも言われますが、
実際には3cm以内であっても目立たないだけで骨盤の下降が生じています。
【軟性墜下性跛行】の場合、
先天性股関節脱臼や、変形性股関節症など、
股関節そのものの構造が変性している場合に生じやすいとされています。
別名「トレンデレンブルグ歩行」とも言われ、
“中臀筋”の機能低下が関与しているとされています。
「変形性股関節症」の詳しい記事はこちら
→変形性股関節症って治るの?原因や症状、治療方法とは?
→変形性股関節症や人工股関節全置換術後のリハビリテーションとは?
「墜下性跛行」の対策は?
【硬性墜下性跛行】の場合、
原因となる脚長差を解消する必要があります。
それには手術療法以外根治的な方法はありませんが、実際には跛行を生じるからといって手術をすることはありません。
“インソール”や靴底への“補高”などを行うことで跛行の減少を図ります。
【軟性墜下性跛行】の場合、
立脚側での骨盤の水平保持に寄与する
“中臀筋”の機能改善を図る必要があります。
これに関しては、機能低下をしている要因をきちんと評価し、
個々の症例に合わせた対策が重要となります。
「トレンデレンブルグ歩行」の詳しい記事はこちら
→「トレンデレンブルグ歩行」と「デュシャンヌ歩行」とは?その原因は?
スポンサーリンク