「サルコペニア」って何?その診断基準とは?
「サルコペニア」って言葉をご存知ですか!?
ここ数年で急速に普及した言葉だと思います。
医療費増大が叫ばれる昨今では、
決して無視することの出来ない概念です。
「サルコペニア」は、
“加齢に伴う筋肉量の減少”と定義されています。
加齢に伴ってこのような現象が進行し、
容易にバランスを崩したり、転倒によって寝たきりになるリスクがあることは容易に想像できると思います。
1989年にRosenbergによって唱えられた概念です。
ギリシャ語で
“サルコ(sarco)”は、「筋肉」を、
“ぺニア(penia)”は、「減少」を意味しており、
それらの造語として“サルコペニア(sarcopenia)”という言葉が提唱されました。
“筋肉量の減少”と定義されるものの、
実際には同時発生する歩行機能や握力などの身体機能と関連づけて定義されています。
必ずしもこれらの身体機能が生じるとは言えないまでも、
ある程度の関連が示唆され、診断に関してもそれらの能力を一つの指標としています。
そこで今回は、「サルコペニア」の分類や診断基準などを解説します。
「サルコペニア」の分類とは?
「サルコペニア」とは、
“加齢に伴う筋肉量の減少”と定義されますが、
その原因によって、
・一次性
・二次性
に分類されます。
【一次性】
一次性とは、加齢以外にサルコペニアに陥る原因が明らかでない場合のこと。
【二次性】
二次性とは、以下の3つに細分類されます。
①活動能力の低下に伴うもの
②悪性腫瘍や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、重症の心不全などの器質性疾患によるもの
③栄養状態の低下に伴うもの
一次性の要因の場合、多くは高齢者ですが、
二次性のように何らかの要因に続発するものであれば高齢者でなくともサルコペニアの状態に陥ることがあるということです。
「サルコペニア」の診断基準とは?
実は「サルコペニア」は、国や地域によって異なる体格の中で、
明確な診断基準ないというのが現状でした。
サルコペニアという用語自体が比較的新しい概念であり、
エビデンス自体が曖昧であったということもあるのでしょう。
そんな中で、2014年1月には、アジア人の体格に合った診断基準が発表されました。
その診断基準では、
①握力:男性26kg未満、女性18kg未満
②歩行速度:秒速0.8m以下
③筋肉量(DXA):男性7.0kg/㎡未満、女性5.4kg/㎡未満
①か②あるいは両方に該当しない
→サルコペニアではない
①か②あるいは両方に該当
→③に該当しない→サルコペニアではない
→③に該当→サルコペニア
このように診断されるのです。
仮に筋肉量が超えているにもかかわらず、握力や歩行速度が基準値を下回る場合には、
パーキンソン病や関節疾患などの他の疾患が疑われます。
※握力の基準値は両手で各3回計測し、最高値を基準値とする
まとめ
今回は、「サルコペニア」の分類や診断基準などを解説しました。
診断基準について、理解は深まったでしょうか!?
握力や歩行速度は臨床場面において簡易的に計測ができる一方で、
筋肉量に関しては、そうはいかず、DXAに代わる信頼性の高い評価法の導入が期待されます。
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