脊髄損傷におけるリハビリテーションに必要な評価項目とは?ASIAって?

    
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脊髄とは、

脊柱(背骨)の中を走行する神経の束です。

 

何らかの外的または内的な要因にて脊髄を損傷すると、

損傷部位に応じて、軽度から重度まで

様々な障害や後遺症が生じます。

 

これを「脊髄損傷」と言います。

 
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「脊髄損傷」は、

“脊柱に何らかの外力が加わり、脊髄が損傷を受けた病態”

です。

交通事故や転倒、転落、スポーツ外傷が主要な受傷原因となりますが、

中には脊髄腫瘍や椎間板ヘルニアなどの内的な要因が受傷原因となることもあります。

詳しくはこちら
脊髄損傷とは?原因や好発年齢は?

 

 

脊髄損傷には、損傷部位や程度に応じて

主要な残存筋機能がある程度決定しています。

損傷がより高位になれば上肢を含めた全身の障害が、

損傷がより低位になるほど、障害も軽度ということになります。

残存筋や残存機能に関してはこちらを参照
脊髄損傷における主要残存筋と、その機能とは?
脊髄損傷における損傷レベルごとの残存機能や能力とは?

 

 

リハビリテーションにおいては、

これらの残存機能を最大限に活かしながら、

日常生活動作能力の向上または獲得を目指します。

 

言い換えれば、

残存能力の的確な把握が、より妥当なゴール設定に重要である

ということです。

 

そこで今回は、脊髄損傷におけるリハビリテーションに必要な評価項目について解説します。

気になる脊髄損傷の再生医療はこちら
脊髄損傷の再生医療とは?

脊髄損傷におけるリハビリテーション評価項目

リハビリテーションにおける評価は、

問題点の把握と、明確化することで治療方針を決定し、予後を予測するための方法です。

 

脊髄損傷に限らず、

・生活styleや趣味や経済状況まで含めた個人情報
・現病歴や合併症や禁忌事項、画像所見などを含めた医学的情報

などの基本的な情報は、収集するのは言うまでもありません。

 

その上で、

心身機能や構造上の機能障害を捉えるための検査や評価を実施します。

 

 

身体機能評価

 

 

【関節可動域検査】

各関節の可動範囲や拘縮さらには痙性の有無まで検査する。

急性期は肩関節の過度な運動に注意しなければならないが、

筋力同様に脊髄損傷において関節可動域制限は、姿勢や動作能力の低下に直結する重要な因子です。

脊髄損傷のリハビリテーションの記事はこちら
脊髄損傷のリハビリテーション「関節可動域訓練」の目的や方法は?

 

 

【筋力検査】

健常部では廃用性の筋力低下の程度を、

境界部では病的状態の筋力の程度を、

麻痺部では残存筋の有無をそれぞれ検査します。

四肢・体幹全てにおいて評価が必要で、筋力のアンバランスやBridge Muscleなどについても把握する。

また手に関しては握力なども重要です。

 

 

【感覚検査】

表在覚(触覚・痛覚・温度覚など)や深部覚(位置覚・関節覚・振動覚など)について検査する。

損傷高位の特定に役立つと同時に、

感覚は、まず触覚の脱失が起こり、ついで痛覚の脱失が起こります。

反対に回復は、痛覚が触覚に先行するという特徴があり、回復の程度の指標にもなります。

 

 

【反射検査】

脊髄損傷に特有の反射検査としては、

・Beaver’s sign
・腹壁反射
・挙睾反射
・臀筋反射
・肛門反射

などを評価します。

特に肛門の反射は、「完全麻痺」「不全麻痺」を判定する上でも重要です。

脊髄損傷における完全麻痺と不全麻痺の判定方法は?

 

 

【ADL(日常生活動作)評価】

基本動作能力を時間質・量的に評価する。

実用的に可能か、装具や自助具があれば可能か、安全に行えるか、少しの介助で可能かなどを評価します。

また、どの機能を高めていけば可能になるのかなど、動作分析の視点が重要になります。

 

 

 

脊髄損傷特有の評価項目

脊髄損傷では、損傷レベルを特定する方法の一つに、

【ASIA重症度スケール】

があります。

 

多くの脊髄損傷患者は初回の評価にて使用され、

残存筋力や感覚、さらには完全損傷不全損傷かの判定などのために用いられます。

 

脊髄損傷の評価においても、

非常に多く活用されています。

 

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「不全麻痺」における病態はこちら
脊髄損傷における不全損傷の特殊型とは?

 

 

 

まとめ

今回は、脊髄損傷におけるリハビリテーションに必要な評価項目について解説しました。

これですべての評価を網羅しているわけではなく、あくまで最低限の評価です。

個々の症状や機能に合わせて、適切な評価を行えるようになる必要があります。


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