踵骨骨折のリハビリテーション方法とは?後遺症は残る?
踵骨とは、足の「踵」の部分の骨です。
立位や歩行において、床面と接する非常に重要な骨です。
踵骨の骨折は、長期の治療を必要とすると共に、
リハビリテーションによって日常生活活動の再獲得が必須となります。
踵骨骨折は、
“高所からの転落や着地などの高エネルギー外力で損傷”
します。
実際に踵骨骨折の9割以上が高所からの転落であり、
両側同時に骨折したり、他部位骨折と合併する例も少なくありません。
踵骨骨折の詳しい記事はこちら
→踵骨骨折とは?受傷機転や症状、治療方法は?
踵骨骨折の治療方法には、
・保存療法
・手術療法
が存在します。
これらは、関節面や骨のズレなどから治療方法が決定されます。
踵骨骨折の分類方法はこちら
→踵骨骨折の診断方法や分類方法とは?Sanders分類って?
踵骨は、大部分が海綿骨で構成されており、その血行の良さから骨癒合も良好とされています。
しかしながら、その分、骨吸収も良く、
「骨萎縮」を起こしやすく【疼痛】などの後遺症が残存しやすいと言われています。
保存療法、手術療法問わず、日常生活動作の再獲得はもちろんのこと、
これらの後遺症を残さないために、
【リハビリテーション】が行なわれます。
そこで今回は、踵骨骨折のリハビリテーション方法について解説します。
踵骨骨折のリハビリテーション
踵骨骨折の場合、保存療法、手術療法いずれも適応となります。
いずれの場合も重要なのは、
【荷重時期】です。
踵骨骨折は、骨移植を防ぐために早期荷重が非常に重要です。
しかしながら、過度な負荷は、骨転移を助長する可能性もあるため、
「荷重」の時期が非常に重要となります。
以下に、踵骨骨折のリハビリテーションの一例を紹介します。
荷重訓練
上記に述べたように、踵骨骨折後の治療の場合、保存療法、手術療法ともに荷重時期が非常に重要となります。
平行棒や松葉杖を利用し、体重計などを確認しながら荷重訓練を行います。
保存療法の場合、骨折後は3週から4週程度のギプス固定が一般的です。
この時期は、完全免荷期であり、荷重のみならず、関節運動自体を制限します。
4週以降、部分荷重訓練を開始します。
多くの場合、1/3→1/2→2/3のように段階的に荷重量を増加します。
おおよそ12週を目処に全荷重を目指します。
一方で手術療法の場合、こちらも同様に、免荷期間を経て、部分荷重そして8〜12週を目処に全荷重を開始します。
実際には、手術療法の方が固定力が強いため荷重時期は保存療法より早期となる場合が多いです。
関節可動域訓練
関節可動域訓練では、足関節や足趾の拘縮予防のために行います。
しかしながら、ギプス固定中の場合は、関節運動は行えません。
踵骨に付着するアキレス腱は、足関節の背屈運動によって伸長され、踵骨の骨折部を離開させる可能性があります。
そのため、手術療法に比べて固定力の劣る保存療法では特に注意が必要です。
保存療法ではギプス除去の時期である4週を目処に、
手術療法では、術後数日後より自動運動から開始します。
筋力増強訓練
踵骨骨折はその免荷期間の長さゆえ、
足関節のみならず、下肢・体幹などの廃用性の筋力低下を招くことがあります。
そのため、受傷後早期から全身的な筋力訓練を開始します。
足関節に関しては、部分荷重期は、
・チューブエクササイズ
・スクワット
・カーフレイズ
など、全荷重期となれば、
・片脚でのスクワット
・片脚でのカーフレイズ
など、積極的に下腿三頭筋の筋力訓練を実施しましょう。
まとめ
今回は、踵骨骨折のリハビリテーション方法について解説しました。
荷重時期の遅れは、疼痛をはじめとして関節拘縮や筋力低下による歩行障害などの後遺症を呈す可能性があり、
荷重量の過負荷は、骨転移などによる再手術のリスクがあります。
それだけに、適切な荷重のタイミングと、リハビリテーションによる機能回復が、予後を左右すると言っても過言ではないでしょう。
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