大腿骨転子部骨折術後に生じるテレスコーピングやカットアウトとは?
大腿骨骨折転子部骨折に対する手術療法は、
「骨接合術」が一般的です。
術後経過の中で特に注意が必要となる
「テレスコーピング」や「カットアウト」をご存知ですか!?
「大腿骨転子部骨折」とは、
高齢者に多発し、その受傷率は大腿骨頸部骨折の2倍とも言われます。
詳しい記事はこちら
→大腿骨転子部骨折とは?手術の種類は?骨接合術ってどんな手術?
骨折の重傷度にもよりますが、
多くの場合、手術療法が適応となります。
大腿骨転子部骨折に対する手術療法には、
「CHS法」や「ガンマネイル法」と呼ばれる「骨接合術」が一般的です。
→大腿骨転子部骨折に対する骨接合術「CHS法」や「ガンマネイル法」とは?
医師においても、理学療法士においても、
経過の中で注意しなければならないのは、
「テレスコーピング」や「カットアウト」です。
今回は、この注意すべき二つ現象について解説したいと思います。
「テレスコーピング」とは?
大腿骨転子部骨折に対する
代表的な手術方法は、
「CHS法」や「ガンマネイル法」です。
これらの手術には、「ラグスクリュー」と呼ばれる
機構によって骨折部の安定を図ります。
ラグスクリューの特性はこちらで確認してください!
→大腿骨転子部骨折に対する骨接合術「CHS法」や「ガンマネイル法」とは?
ラグスクリューは荷重によって、
スライディング機構を有して、遠位骨片と近位骨片が噛み合い、
癒合が促進されます。
この噛み合いのことを「テレスコーピング」と呼びます。
基本的には、ラグスクリューの機構から正常の現象といえますが、
問題は、過度に噛み合い、骨折部が過剰に短縮してしまうことです。
ガンマネイルの場合は、ラグスクリューの遠位が、
大腿の外側方向へ抜けてきてしまうことがあります。
また、下記に述べる「カットアウト」のリスクになります。
「カットアウト」とは?
上記のテレスコーピングは理解出来ましたでしょうか!?
過度に生じたテレスコーピングによって、
スクリューが骨頭側から突き出てしまうことを
「カットアウト」と呼びます。
一度生じてしまうと、自然に戻ることはなく、
人工骨頭置換術などの方法で再手術が必要となります。
大腿骨転子部骨折に関する記事はこちら
→大腿骨転子部骨折の診断や分類方法は?Evans分類って何?
→大腿骨頸部骨折や転子部骨折の保存療法のポイントは?
まとめ
今回は、「テレスコーピング」や「カットアウト」について解説しました。
“術後経過は良好だったのに、急に荷重痛の訴えが強まった”
そんな兆候を認めたら要注意です。
レントゲンで日々確認は必要ですが、これらが生じてからでは遅いのです。
日々の変化から、これらのリスクを疑うことが重要です。
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