大腿骨転子部骨折の診断や分類方法は?Evans分類って何?
大腿骨転子部骨折とは、大腿骨頸部骨折と並んで高齢者に多い外傷性の骨折です。
高齢による骨の脆弱性が要因となって、軽微な転倒でも容易に骨折を引き起こします。
一概に大腿骨転子部骨折と言っても、
その骨折線の方向や、転位の程度など、重症度は様々です。
大腿骨転子部骨折は、
“股関節の付け根付近にある、大腿骨転子部の骨折”です。
大腿骨頸部より遠位で、やや太く出っ張った部位にあたります。
大腿骨転子部骨折と大腿骨頸部骨折に関する詳細な情報はこちら
→大腿骨転子部骨折とは?手術の種類は?骨接合術ってどんな手術?
→大腿骨頸部骨折とは?原因や症状は?治療方針は?
転倒後の受傷時には、股関節の付け根に激しいと疼痛が生じますが、大腿骨の転子部の骨折なのか、大腿骨頸部の骨折なのかは、素人には判断はつきません。
では、Drはどのように判断しているのでしょうか!?
転倒による骨折の場合は、画像診断が用いられます。
・X線(レントゲン)
・MRI
・CT
などです。
さらに、手術療法を行うにあたっては、その重症度を判別しなければなりません。
日本で最も用いられている大腿骨転子部骨折の分類方法は、
【Evans(エバンス)分類】です。
この分類に従って、手術療法である骨接合術の種類を選択します。
→大腿骨転子部骨折とは?手術の種類は?骨接合術ってどんな手術?
→大腿骨転子部骨折に対する骨接合術「CHS法」や「ガンマネイル法」とは?
今回は、大腿骨転子部骨折の診断や分類方法であるEvans分類について詳しく解説します。
大腿骨転子部骨折の診断方法は?
転倒などの外傷が生じ、股関節に疼痛がある場合は、まずは
【X線(レントゲン)】検査を行います。
しかしながら、レントゲンでは明らかな骨折が認められない場合もあります。
その場合は、
【CT】
【MRI】
にて詳細な検査にて骨折の有無を判定します。
※このような診断の流れは、大腿骨転子部骨折に限らず、骨折を疑う多くの場合に辿る流れです。
加えて、骨折線の方向や、転位の有無などを重症度分類に従って分類していくのです。
→大腿骨転子部骨折に合併する小転子骨折とは?リハビリは進めるべき?
大腿骨転子部骨折の分類方法は?
大腿骨転子部骨折の重症度分類には、
【Evans(エバンス)分類】が用いられています。
エバンス分類は、画像所見をもとに、
“内側骨皮質の損傷の程度と、整復の程度によって分類する”方法です。
まず、Typeの分類は、骨折線の向かう方向で分類します。
・Type 1 は骨折線が小転子から大転子に向かう骨折
・Type 2 は骨折線が小転子から外側遠位に向かう骨折
Type 1 は全体の約70%、Type 2 は全体の約30%を占めます。
次にgroupの分類は、転位と整復の可否で分類します。
・group 1 は転位のない単純な2パート骨折
・group 2 内側皮質が整復され、小転子を含む第3骨片が整復可能な骨折
・group 3 内側皮質が整復できない骨折
・group 4 粉砕骨折で大転子が大きく転位している骨折
Type 1 のGroup 1 とGroup 2 は安定型の骨折、
Type 1 のGroup 3 とGroup 4 並びにType 2 は不安定型の骨折と呼ばれます。
この分類に従って手術手技も選択されるのですが、中には術後翌日から荷重が許可され、中には免荷の指示が出たりすることもあります。
これには、骨折自体の安定性が関与しているのです。
稀に選択される保存療法に関する記事はこちら
→大腿骨頸部骨折や転子部骨折の保存療法のポイントは?
まとめ
今回は、大腿骨転子部骨折の診断や分類方法であるEvans分類について詳しく解説しました。
大腿骨頸部骨折に対するGarden分類よりも、やや複雑で難しい分類かもしれません。
→大腿骨頸部骨折の診断や分類方法は?Garden分類とは?
分類方法と実際の画像とを照らし合わせながら判断してみてください!
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