半月板損傷における手術療法後のリハビリテーション方法は?
半月板損傷は、若年者に好発するスポーツ外傷です。
単独損傷、合併損傷いずれも認められますが、
多くは手術療法が適応となります。
さらに、手術後にはリハビリテーションが重要となり、
適切な機能回復ののち、競技復帰を目指します。
半月板は、
“大腿骨と脛骨の間に存在する線維軟骨”です。
主な役割は、
・膝関節のクッション作用
・円滑な膝の屈伸を補助
することです。
半月板損傷の受傷は、
スポーツ外傷や交通外傷などの高エネルギーが加わることで損傷します。
特に、荷重下での膝関節の回旋ストレスが受傷機転となります。
半月板損傷に関する記事はこちら
→半月板損傷とは?原因や症状、その治療方法とは?
損傷後は、単独損傷、合併損傷にかかわらず、
手術療法が適応となる場合が多いです。
手術療法には、
・切除術
・縫合術
などの手技が存在します。
半月板損傷の手術療法はこちら
→半月板損傷に対する手術療法!種類や方法、関節鏡視下手術って何?
手術後は、
日常生活への復帰、または競技復帰を目的とした
リハビリテーションを行います。
このリハビリテーションにこそ、術後の機能的な予後がかかっていると言っても過言ではありません。
そこで今回は、半月板損傷における手術療法後のリハビリテーション方法について解説します。
半月板損傷におけるリハビリテーション
半月板損傷における手術後のリハビリテーションは、
切除術、縫合術かによって若干のプロトコールの差があり、
荷重時期が異なります。
しかしながら、関節可動域訓練や筋力訓練なども過度な負荷を与えない範囲で術後早期から開始していきます。
関節可動域訓練
術後早期は膝の深屈曲は避けながらも、自動運動で運動可能な範囲で行います。
最終的に膝関節の運動時に疼痛が残存するケースもあり、特に膝関節の前方・後方移動を考慮した運動療法が望ましいです。
例えば、内側半月板であったら内側半月板を後方へ引く作用のある「半膜様筋」の収縮を確認しながら行う必要があります。
術後に半月板の癒着や硬化が生じた場合には、疼痛が残存する可能性もあるため、このようなアプローチが重要となります。
目安ではありますが、切除術では術後4週、縫合術では術後8週程度で全可動域の獲得が可能となります。
最終的には正座も可能となります。
筋力増強訓練
術後は、「Extension Lag」が生じることがあり、
特に内側広筋の収縮改善が重要です。
※「Extension Lag」・・・膝関節の自動伸展不全
そのためには、下肢伸展挙上(SLR)やQuad Setthingなどを中心に行います。
術後早期には、関節面や半月板への負荷を最小にした運動が必要であり、強力な関節運動を伴う運動は避けましょう。
下肢伸展挙上(SLR)
Quad Setting
荷重訓練
術後の荷重訓練は、部分切除術であれば、術後より全荷重が許可されることもあります。
一方で、縫合術であれば、術後は免荷期間を設け、2週後より部分荷重訓練を開始し、4週後より全荷重へ移行することが一般的です。
この辺りは、重症度や主治医の方針によって異なります。
全荷重後は、疼痛などに応じながら、徐々にスクワットやフォワードランジ、ヒップリフトなど段階的に行います。
バランス訓練
バランス訓練では、全荷重下での訓練が可能となってから開始します。
特に膝関節の回旋運動を伴うような運動を段階的に進めていきます。
例えば、不安定板やバランスクッションなどを用いた訓練を実施していきます。
まとめ
今回は、半月板損傷における手術療法後のリハビリテーション方法について解説しました。
競技復帰までの期間は、手術方法により異なるようなので、
一概には言えませんが、荷重時期の違いから、
切除術では2ヶ月以降、縫合術では3ヶ月以降が目安となるようです。
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