内側側副靱帯損傷のリハビリテーションとは?競技復帰までの期間は?

    
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内側側副靱帯損傷は、スポーツによる受傷が大半を占めます。

膝の外傷の中でも最も頻度の多い疾患です。

しかしながら、その多くは、保存療法による

リハビリテーションによる回復が可能とされています。

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内側側副靱帯は、

“膝関節の内側を大腿骨から脛骨まで走行する靱帯”です。

 

内側側副靱帯損傷は、主にスポーツによる外傷が中心を占めます。

受傷機転は、

ラグビーやサッカーなどタックルによる接触性要因、
バスケットやスキーでの急激な方向転換やジャンプの着地などによる非接触性要因

に大別されます。

内側側副靱帯損傷に関する詳しい記事はこちら
内側側副靱帯損傷とは?原因や症状、その治療法は?

 

内側側副靱帯損傷の治療は、重症度によって異なります。

内側側副靱帯損傷の重症度はこちら
内側側副靱帯損傷の重症度分類とは?

 

Ⅰ〜Ⅱ度の損傷であれば【保存療法】が、
Ⅲ度の損傷であれば【手術療法】が適応とされます。

しかしながら、内側側副靱帯損傷の単独損傷であれば、Ⅲ度でも保存療法が適応となる場合があります。

いずれの場合も、リハビリテーションによって治癒の促進を促すだけでなく、

スポーツ復帰を目的とする患者が多い為、競技復帰にむけたリハビリテーションが重要となります。

そこで今回は、内側側副靱帯損傷のリハビリテーションについて、その競技復帰までの期間も含めて解説します。

内側側副靱帯損傷のリハビリテーション

内側側副靱帯損傷のリハビリテーションとはどのような内容が行われるのでしょうか!?

保存療法でのリハビリテーションにおいて、

まず、前提となるのは、膝関節の過度の不安定性を引き起こすことなく実施することです。

靱帯が損傷過程の中での過度な不安定性は半月板損傷などの合併症を招く恐れもあるため、

基本的に膝装具の着用が必要となります。

内側側副靱帯損傷の診断方法や徒手的検査法とは?

 

また、ここでいうリハビリテーションは、理学療法のことを指しますが、

理学療法自体が組織の修復を直接促すものではありません。

しかしながら、

損傷部にストレスをかけない生理的な関節運動は靱帯治癒にも良い影響を及ぼすことが確認されています。

さらに、二次的な障害の予防や、患部以外の廃用の予防のためにも理学療法は重要となります。

 

 

関節可動域訓練

受傷後早期より、柔軟性の獲得は重要です。

装具などで、患部の安定を得ながら、

膝関節の屈曲拘縮予防のための後面筋のストレッチや膝蓋骨の可動性の維持は非常に重要となります。

また、疼痛のない範囲で下腿の内外旋の可動域を獲得させることも重要となります。

 

 

筋力増強訓練

膝関節外傷後の筋力訓練に関して、過去にはOKC(open kinetic chain)での運動が中心に行われてきました。

しかしながら近年では、

スクワットなどの荷重位での複合関節運動であるCKC(closed kinetic chain)が有効とされています。

 

実際には、

膝関節への過度な負荷を回避でき、最大張力を発揮しやすいOKCと、

荷重下にて隣接関節との関係性も作りながら、実践的な訓練が行えるCKCとの

併用が望ましいと言えます。

 

 

競技特性を考慮した訓練

急性期が過ぎれば、関節可動域を最大限に使い、

・エアロバイク
・サイベックスマシン

などを使った積極的な筋力訓練や、

 

下肢と骨盤、体幹などを含めた協調的なトレーニングが有効です。

例えば、ランジ肢位での前後や左右への踏み込みなどを行います。

 

さらに、実際の競技の特性に沿った訓練も重要となります。

 

 

競技復帰の目安

保存療法における競技復帰はどれくらいの期間を有するのでしょうか!?

これは、重症度やリハビリテーションの進行具合、競技特性や年齢などにもよります。

おおよその目安ですが、

Ⅰ度:6週
Ⅱ度:6~10週
Ⅲ度:12週~

程度の期間は必要でしょう。

なお、半月板損傷や前十字靭帯損傷との合併を起こしていた場合はこの限りではないでしょう。

 

 

まとめ

今回は、内側側副靱帯損傷のリハビリテーションについて、その競技復帰までの期間も含めて解説しました。

競技復帰までの期間を少しでも短縮したいは誰でも同じ気持ちでしょう。

しかしながら、しっかりと完治していなければ再発のリスクも高くなります。

復帰を焦らず、きちんと治し切ることが良いパフォーマンスを発揮し続ける秘訣でしょう。


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