内側側副靱帯損傷とは?原因や症状、その治療法は?
「膝の捻挫」とも言われ、
膝の外傷の中では比較的頻度の高いのが、内側側副靱帯損傷です。
スポーツ外傷が多く、適切な治療を施すことが、
早期の競技復帰への近道となります。
内側側副靱帯損傷は、
“大腿骨から脛骨に付着し、主に膝関節の内側の安定に寄与する靱帯の損傷”です。
内側側副靱帯の役割は、
・膝の外反
・下腿の外旋
に対する制動です。
内側側副靱帯損傷の多くは、
スポーツによる外傷です。
・ラグビーやサッカーなどでのタックルによる接触性要因
・急な方向転換などによる回旋ストレスによる非接触性要因
これらが要因となって受傷することが殆どです。
受傷後の症状には、腫脹や疼痛などが生じます。
内側側副靱帯損傷には、重症度による分類があり、それらに準じて
・保存療法
・手術療法
に大別されます。
そこで今回は、内側側副靱帯損傷の原因や症状、そしてその治療法について詳しく解説します。
内側側副靱帯とは?
内側側副靱帯(Medial Collateral Ligament:MCL)は、膝関節のない側面に扁平に広がる靱帯です。
内側側副靱帯の繊維は浅層と深層に分かれて存在しています。
大腿骨の内側上顆から脛骨の近位内側に付着する幅広い靱帯で、
その役割は、
・膝の外反
・下腿の外旋
です。
簡単に言うと「足部に対して膝が内側に入りすぎないように制動」しています。
また、深層の繊維は、内側半月板や関節包との連結があります。
内側側副靱帯の受傷原因は?
内側側副靱帯損傷は、
膝に大きな外反力が加わった際に受傷します。
多くはスポーツによる外傷であり、
・タックルによる接触性要因
・急な方向転換などによる非接触性要因
に分けられます。
前者は、ラグビーやサッカーなどの激しいスポーツによって、
後者は、スキーやバスケットなどによる方向転換の激しいスポーツによって、
それぞれ受傷しやすいと言われています。
内側側副靱帯の単独損傷のみならず半月板との合併を生じやすいのも特徴の一つです。
膝の中でも最も重篤な複合損傷はこちら
→不幸の三徴候(アンハッピー・トライアド)とは?
内側側副靱帯の症状は?
内側側副靱帯損傷は、大腿骨外側上顆の付着部に生じることが多いとされています。
そのため、受傷後は同部位の
・疼痛の増強
を認めます。さらに急性期では、
・関節な血腫による腫脹
・関節可動域制限
などの症状を呈します。
急性期を過ぎたのちには、外反方向への不安定性が残存します。
内側側副靱帯の治療は?
内側側副靱帯損傷直後には、
RICE処置を徹底します。
RICE処置とは、
R:Rest(安静)
I :Ice(アイス)
C:Compression(圧迫)
E:Elevation(挙上)
です。
炎症の急性期には、まずはこれらの処置を少なくとも48時間は継続することが重要です。
急性期を過ぎた後の内側側副靱帯損傷の治療法は、
・保存療法
・手術療法
いずれの方法も選択される可能性があります。
重症度によってこれらの選択がなされます。
→内側側副靱帯損傷の重症度分類とは?
ただし、内側側副靱帯の単独損傷では、治癒力の高さから保存療法でも経過良好な場合が殆どです。
そのような場合には、装具療法などを用いて4〜6週程度で競技復帰が可能となります。
一方で、外反不安定性が強い場合は、靱帯の再建手術が行われることもあります。
術式には、自家大腿筋膜を使用します。
こちらも比較的予後は良好ですが、全荷重が許可されるまでに6週程度かかるため、保存療法に比して競技復帰は遅くなります。
いずれの場合も、機能回復にはリハビリテーションが適応となります。
まとめ
今回は、内側側副靱帯損傷の原因や症状、そしてその治療法について詳しく解説しました。
膝関節の靭帯損傷の中でも、最も頻度の高いのが内側側副靱帯損傷です。
多くの有名スポーツ選手も受傷している外傷です。
予後は良好であることが多いものの、適切な治療と、再発予防が重要となることは言うまでもありません。
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