先天性股関節脱臼とは?原因や症状、治療方法とは?

    
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先天性股関節脱臼は、

生後間もない「赤ちゃん」に発症する疾患です。

脱臼した状態を放置すると、様々な後遺症が出現するため、

早期発見・早期治療が極めて重要です。

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「先天性股関節脱臼」とは、

股関節に生じる疾患です。

本来股関節は、骨盤の”臼蓋”の中に、大腿骨の”骨頭”がはまり込んでいます。

 

 

骨頭が臼蓋に対して、うまく適合せず、

外れかかっている(亜脱臼)状態を先天性股関節脱臼というのです。

実際には、完全に「脱臼」はしていないのです。

さらに、やや程度の軽いものを「臼蓋形成不全」とも言います。

 

 

先天性股関節脱臼は、生後間もない「赤ちゃん」に生じます。

適切な訴えの出来ない赤ちゃんに生じるため、

発見が遅れ、後遺症などを残すことも少なくありません。

 

 

そこで今回は、先天性股関節脱臼の原因や症状、その治療方法などを解説します。

先天性股関節脱臼の疫学は?

先天性股関節脱臼の発生率には幾つかの特徴があります。

 

・女児が男児の7〜10倍程度の発症率
家族歴がある(遺伝的要因の関与?)
・右よりもに生じやすい

 

全体の発症率としては、おおよそ1,000人に1〜3人の割合と言われます。

日本では、世界の中でも特に発症率が高く、

「脱臼多発国」としても知られていました。

 

しかしながら現在では、適切な予防活動が功を奏し、

その数も徐々に減少しているようです。

 

 

 

先天性股関節脱臼の原因は?

先天性股関節脱臼の原因には、

「先天的」または、「後天的」な要因の二つが存在します。

 

これまでは、多くがその名の通り、先天的な要因と考えられていました。

しかし最近では反対に、後天的な要因での発症がほとんどであることが明らかになっています。

 

では、どんな要因があるのでしょうか!?

 

 

 

先天的な要因

先天的な要因としては、

上記にも記載したように、家族歴があることが多いです。

 

先天的に臼蓋の形成が不全な場合や、

全身の関節が弛緩性を有すために、

後述する後天的な影響を受けやすい資質を持っている場合などがあります。

 

 

 

後天的な要因

後天的な要因としては、

「不良姿勢」に起因するものが殆どです。

 

赤ちゃんが自然に仰向けで寝た場合、

多くが「M字」に開脚した形をとります。

 

しかしながら、オムツの巻き方や、抱っこの仕方などによって、

開脚位ではなく、下肢が気をつけのようにまっすぐになった際に生じます。

 

一度なっただけで生じるわけではなく、習慣的にそのような肢位が強制された場合に注意が必要です。

 

 

 

先天性股関節脱臼の症状は?

赤ちゃんは、股関節が脱臼しているからといって、教えてはくれません。

多くは、外部観察による所見によって明らかになります。

 

・足が外側に開きにくい
・足の長さが違う
・太もものシワが非対称
・下肢を動かした時に「クリッ」と音がする

 

これらの症状が出現していたら要注意です。

すぐに受診し、X線(レントゲン)やMRIなどの画像診断を受けましょう。

 

 

 

先天性股関節脱臼の治療法は?

先天性股関節脱臼の治療は、

【装具療法】が中心です。

 

「リーメンビューゲル」と呼ばれる装具を使用し、

下肢を開脚位で固定します。

ズレている骨を適合させるのです。

 

大抵の場合、これらの固定を3〜4ヶ月程度継続することで、

整復が可能となります。

 

これでも整復が難しい場合は、

「牽引治療」「手術療法」を行う場合もあります。

 

 

 

まとめ

今回は、先天性股関節脱臼の原因や症状、その治療方法などを解説しました。

後天的な要因で発症するのであれば、

赤ちゃんを持つ親として、きちんとした知識を持つ必要があります。

早期の発見ができず、長らく放置すると、症状が悪化し、

最終的には成熟したのちに「変形性股関節症」に発展する場合があるので、

日頃の状態をよく観察することが大事です。

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