「松葉杖」ってどんな杖?適切な高さ調整の方法は?
「松葉杖」は、
医療関係者のみならず多くの人が耳にしたことのある杖でしょう。
しかしながら、実際に使用したことがある人は少なく、
その調整方法や使用方法などはあまり知られていません。
「松葉杖」は、
一般的には、“足が不自由な人が使用する福祉機器”とされています。
左右一対で使用するイメージがありますが、片方で使用する場合もあります。
現在では、様々な人に適応できるよう形状の変わった松葉杖も販売されていますが、
標準的な松葉杖は、杖の手の側が松葉のように二股に分かれており、最上部に位置する横木を脇の下に挟んで、杖に体重を預けながら使用します。
下肢に加わる荷重の軽減に対しては非常に有効でありますが、
ある程度の熟練を要することや、適切な使用方法を習得しなければ使用することは難しいです。
特に使用にあたって、その高さ調節は重要であり、
その調整次第によって、難易度が大きく変わると言っても過言ではありません。
そこで今回は、「松葉杖」ってどんな杖か、そしてその適切な高さ調整の方法などについて解説します。
「松葉杖」とは?
「松葉杖」は、
支持点を一点で支え、握り手と、脇あてがついた杖です。
杖の使用時は身体に近い上に、
手さらには脇で体重を受けることが出来ます。
昔の松葉杖のイメージといえば、“木製”のものが多かったかもしれませんが、
現在ではステンレス製のものが多く販売され、
軽量で高さなどの調節なども容易に行えます。
ただし、温度の影響を受けやすく、
夏は熱く、冬は冷たくなりやすいのが欠点です。
「松葉杖」の役割は?
「松葉杖」が通常の杖などと比べて優れている点は、
“負荷できる荷重の多さ”です。
通常の「一本杖」や「四点杖」と呼ばれる杖は、
手で杖に力を伝えるため、身体の体重を負荷するにも限度があります。
しかしながら松葉杖は、
手に加えて、脇で体重を負荷することができるため、
両側で使用することで“全体重”を負荷させることも可能です。
実際に、リハビリテーション場面などでは、
下肢骨折後のプロトコールとして、
“免荷歩行”や“部分荷重歩行”など、下肢にかける体重を制限しながら行う訓練があるため、
その際には、松葉杖は非常に有用な歩行補助具となるのです。
また、「一本杖」や「四点杖」が“年寄りの杖”といったイメージがある中で、
「松葉杖」は、“怪我をした人が使う物”というイメージがあり、若い人でも使い易いメリットもあります。
→「一本杖(T字杖)」の使用目的や適応とは?
→「四点杖(多点杖)」ってどんな杖?役割や適応は?
「松葉杖」の適切な高さ調整とは?
「松葉杖」を使用するに際して、最初に行うことは、
“高さ調節”です。
以下は一般的に行われる松葉杖の高さ調節の方法です。
・杖の高さは、杖先を足部の外側15cm、前方15cmの位置に付いた時に、脇の高さよりやや短くする(脇あてと脇の隙間が2〜3横指となるように)
・握り手の位置は、杖を握った時に肘が30°程度曲がるようにする
実際に使用する際には、このような高さに設定し、
脇を締めるように脇あてを挟み込み、肘を伸ばす力で、身体の体重を杖に伝えます。
腕で上方に伸び上がるイメージで使用すると良いでしょう。
また、”肘が30°程度曲がる”ように設定することがオーソドックスですが、
実際に使用すると、それよりも小さい角度でもよく、肘が極わずかに曲がる程度の方が、
肘を伸ばす力が伝わりやすくなります。
支持力の高い杖はこちら
→「ロフストランド杖」ってどんな杖?特徴や適応とは?
→「サイドケイン」とは?その使い方や適応は?
まとめ
今回は、「松葉杖」の適切な高さ調整の方法などについて解説しました。
素人では、高さ調節のみならず、使用方法もよく分からず、
適当に使ってみたら転んで骨折した….
なんて言う最悪のパターンもないわけではありません。
医師や理学療法士などの専門家のアドバイスの元、適切な使用方法を身につけましょう。
スポンサーリンク