「四点杖(多点杖)」ってどんな杖?役割や適応は?
“杖”と言われて思い浮かぶのは、
大抵の場合は、いわゆる「一本杖」と呼ばれる杖ではないでしょうか!?
“杖”には、様々な形状や役割を持つ種類が豊富に存在し、
「四点杖」もその一つであります。
「四点杖」とは、
床面と接する部分が4本の足になっており、
杖そのもの安定性が高い杖です。
四点杖のように、床と接する部分が、
三点や四点、場合によってそれ以上であるときには、“多点杖”と言います。
広義には、「四点杖」も“多点杖”ということになります。
杖の基本的な役割は、
“バランスを補助する”ことにあります。
特に「一本杖」においては、ある程度歩行が可能な者が、
ちょっとしたバランスを補助するために使用する場合が多いです。
「一本杖」に関する詳しい記事はこちら
→「一本杖(T字杖)」の使用目的や適応とは?
それに比べて、「四点杖」は、バランスの補助の機能も有しますが、
その目的は、“体重を支持できる”点にあります。
そこで今回は、「四点杖(多点杖)」の役割や適応について解説します。
「四点杖」ってどんな杖?
「四点杖」とは、
通常の「一本杖」が床との接点を1点で支えているのに対して、
四点で支える杖なのです。
持ち手の部分は、床面と平行になるようにデザインされており、
手で体重を伝えやすい構造になっています。
多くは、カーボンファイバーや金属などの材質でできており、
重さや強度が異なります。
これは、対象者に合わせて選定するのが良いでしょう。
「四点杖」の役割とは?
「四点杖」は、「一本杖」と比べて、
床面と接している点が多く、ひいては支持基底面が大きい点が特徴です。
支持基底面に関する概念はこちらを参照ください!
→「一本杖(T字杖)」の使用目的や適応とは?
「四点杖」そのものだけでも、
立てておくことが出来るほどに安定しているのです。
そのため、使用者の体重を垂直方向に受けることが可能なんです。
ある程度の体重支持が可能であることから、患肢の荷重が十分でない場合などに非常に有用となります。
「四点杖」使い方とは?
「四点杖」は、体重を支持できるという最大の利点を生かすためには、
正しく使用することが必要です。
まず、その構造上の特性から、支持点の四点を水平に接地させなければなりません。
前二点だけ接地し、後ろ二点だけ浮いていたら、反対に不安定になってしまいますよね。
そのため、凸凹のある地面や坂道での使用には向かず、屋内での使用に適しています。
このような特性上、早歩きで歩く際には、
逆に四点を接地させることが難しくなるため、歩行速度が速い方には不向きと言えるでしょう。
「四点杖」の適応とは?
「四点杖」の適応となるのは、
・患肢の支持が十分でない者
・杖を持つ上肢がきちんと使えること
などが挙げられます。
具体的な疾患としてよく利用されるのは、
「脳血管障害(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)」などを呈している方に適応が多いです。
もちろんそれだけではなく、
・変形性関節症
・下肢骨折の手術後
・高齢者
など、疾患に囚われず、様々な人に適応があります。
まとめ
今回は、「四点杖(多点杖)」の役割や適応について解説しました。
「四点杖」を街中であまり見かけない理由は、こんなところにあったんですね。
一本杖に比べて適応は少ないかもしれませんが、
適応となる方にとっては、非常に有用で画期的な杖と言えるでしょう。
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