「ペルテス病」に対する装具療法とは?装具の名前は?
「ペルテス病」とは、
小児期の男児に好発する“股関節”の疾患です。
自然回復にて治癒することもありますが、
後遺症を残しやすい疾患としても知られています。
代表的な治療方法の一つに、
“装具療法”があります。
「ペルテス病」とは、
“股関節を構成するボールの形をした大腿骨頭への血流が途絶え、壊死する疾患”
です。
血流が途絶える詳しい原因は分かっていませんが、
小児期(特に4歳〜8歳)の活発に動く男児に好発することから、
何らかの力学的な要因が関与しているとも言われています。
初期症状は、
足を引きづる、またはかばうような跛行を認めます。
徐々に股関節または周囲の膝関節や腰の痛みが生じます。
次第に、足の長さや太さの違いまでもが出現します。
詳しい診断方法などはこちら
→「ペルテス病」の診断方法や病期分類とは?予後は良いの?
小児期の旺盛な治癒力によって、
発症年齢が低ければ自然治癒にも期待ができます。
しかしながら、自然治癒によって軽快しない場合には、
手術療法または、装具療法が選択されます。
今回は、「ペルテス病」に対する装具療法について解説します。
「ペルテス病」に対する記事はこちらも参考にしてください!
→「ペルテス病」ってどんな病気?原因や症状、治療法は?
「ペルテス病」に対する装具療法とは?
「ペルテス病」に対する装具療法の目的は、
“大腿骨頭を臼蓋にきちんと包み込ませ、正しく大腿骨頭が成長していくのを待つ”
ということになります。
その間には、関節の拘縮を起こさぬよう、
関節可動域訓練を行うことや、壊死した骨頭が過度な力学的な負荷で変形しないように“免荷”を行う必要があります。
適応となる年齢は、
だいたい5歳〜8歳くらいの低年齢であり、
後述する専用の装具を装着します。
装具の装着期間は、個々の経過によって異なるものの、
1年や1年半程度が必要とされています。
成長に合わせて装具の調整や作りかえが必要となるというデメリットや、
歩くことは可能であるものの、本人の受け入れなどの心理的なサポートなど、
手術療法に比して難しい治療法と言われています。
装具療法の実績を持つ施設での治療が好ましいと言えます。
装具の名前は?その特徴は?
「ペルテス病」に対する装具は、
“SPOC装具”と呼ばれるタイプが有名です。
Shiga Pediatric Orthopedics Centerの頭文字で、
滋賀県立小児保健医療センターの前身なのだそうです。
この装具の特徴は、
股関節を屈曲30°・外転30°・外旋30°で保ちます。
後方には支柱があり、坐骨で体重を支える構造となっています。
そのため、支柱に荷重をかけることによって、“免荷”でありながらも歩行を行うことが可能なのです。
まとめ
今回は、「ペルテス病」に対する装具療法や装具の特徴について解説しました。
小児期に罹患する疾患であるため、
子供自身のみならず、親への心理的な負担も少なくない治療法です。
主治医と相談し、装具療法を行うのか、はたまた手術療法が適しているかなどを検討するようにしましょう。
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