「フォルクマン拘縮」とは?コンパートメント症候群の一種?その特徴は?
「フォルクマン拘縮」は、
骨折などの外傷に続発する、
前腕の“コンパートメント症候群”の一種です。
比較的頻度も高く、
手遅れにならぬよう、正しい知識が必要です!
四肢を断面図として観察すると、筋肉のみならず、
神経組織や血管、そして筋膜や骨幹膜が存在しています。
このような構造、この閉鎖された空間を“コンパートメント”と言います。
骨折などの外傷を主として、
腫脹や血管や神経の損傷が生じると、
このコンパートメントの内圧が高まったり、
組織が壊死することを“コンパートメント症候群”と言います。
四肢のいずれの部位でも生じる可能性がありますが、
とりわけ上肢から前腕にかけて生じるコンパートマント症候群は頻度が高く、
「フォルクマン拘縮」と呼ばれています。
「フォルクマン拘縮」は、
関節可動域制限や、運動麻痺をはじめとして、
不可逆的な変化をきたします。
このように手遅れにならないように、
正しい知識が必要です。
そこで今回は、コンパートメント症候群の一種である「フォルクマン拘縮」について解説します。
下腿のコンパートメント症候群もあります。
→下腿に好発する「コンパートメント症候群」ってどんな疾患?
「フォルクマン拘縮」の原因は?
「フォルクマン拘縮」の原因は、
上腕から前腕の中でも、
特に前腕の屈側に生じるコンパートメント症候群です。
この状態が引き起こされる誘因として、
骨折などの外傷が挙げられますが、
特に多いのが
「上腕骨顆上骨折」です。
→小児や子供に多い「上腕骨顆上骨折」とは?リハビリは?
→「上腕骨顆上骨折」の症状とは?合併症に注意?
その他にも、
直接的に“腕を挟まれる”などの外傷や、
“肘の脱臼”などがあります。
「フォルクマン拘縮」の症状は?
「フォルクマン拘縮」の症状は、
前腕から手指にかけての
・腫脹
・疼痛
・痺れ
・チアノーゼ
・筋肉の麻痺
などがあります。
特に典型的な症状として、
母指内転、第2~5指MP関節過伸展、IP関節屈曲
の拘縮を呈します。
このような症状が、
時間の経過とともに進行性に悪化していきます。
上記のような拘縮の形が出来上がってしまうと、
すでに手遅れであり、不可逆的な変化となってしまいます。
「フォルクマン拘縮」の治療は?
「フォルクマン拘縮」の治療は、
可能な限り骨折の整復や、
ギプスでの圧迫などの阻血原因を除去します。
しかしながら、動脈の閉塞などが生じてから、
実際に拘縮が生じるまでの時間は、
6〜8時間と言われているので、早期発見・早期治療にかかっています。
もし、このような初期治療で功を奏さない場合は、
緊急手術によって、筋膜切開を行い、外科的に内圧の減少を行います。
拘縮が完成してしまってからでも、
手術を行うことで、変形の矯正を行うことは一部可能ではありますが、
完全回復は困難で、元の動きを取り戻すことは不可能です。
まとめ
今回は、コンパートメント症候群の一種である「フォルクマン拘縮」について解説しました。
小児や子供が、
「上腕骨顆上骨折」を受傷した場合には特に注意が必要です。
治療の鍵は、“早期発見”であるため、
異常を感じた場合には、すぐに受診するようにしましょう。
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