脊髄損傷における損傷高位レベルの診断や決定方法は?
脊髄損傷とは、
“脊柱の中を走行する脊髄の損傷”です。
脊損(せきそん)とも略されますが、
障害の程度は、損傷の高位レベルによって様々です。
脊髄は、
頸髄8髄節、胸髄12髄節、腰髄5髄節、仙髄5髄節、尾髄1髄節からなり、
上下肢や体幹の運動や感覚などを支配する神経の束です。
脊髄は、脊柱と呼ばれる身体の中軸をなす
骨格部の中央に位置する脊柱管の中を通過しています。
この部分に強力な外力などが加わり、脊髄が損傷してしまった病態を
「脊髄損傷」と言います。
詳しくはこちらを参照下さい!
→脊髄損傷とは?原因や好発年齢は?
脊髄は損傷する程度や部位によって、
完全損傷または不全損傷に分類されます。
それだけでなく、頸髄、胸髄、腰髄のどの部分が損傷を受けたかによって、
それぞれ、「頸損(けいそん)」「胸損(きょうそん)」「腰損(ようそん)」などと呼ばれます。
さらに詳しく言うと、損傷レベルに応じて、
C8頸損だったり、Th10損傷だったり、番号を付随させた名称で表現する場合も多いです。
番号を言われると、そのレベルが損傷しているのか、残存しているのかいまいち分かりづらいですね。
これらの名称には、決められた表現方法があるのでしょうか!?
脊髄損傷のリハビリテーション
→脊髄損傷のリハビリテーション「関節可動域訓練」の目的や方法は?
→脊髄損傷のリハビリテーション「プッシュアップ」に必要な筋とその機能とは?
髄節番号と棘突起番号のズレ
まず、脊髄損傷の高位診断において留意しておくべき点に関して記載します。
冒頭にも述べたように、脊髄は、
頸髄8髄節、胸髄12髄節、腰髄5髄節、仙髄5髄節、尾髄1髄節からなります。
これらは、脊柱の中央にある脊柱管の中を通ります。
その中でも、上肢や下肢に神経を送る部分は、膨隆していることが知られており、
それぞれ、「頸膨大」「腰膨大」と呼ばれます。
「頸膨大」は、第3頚椎から第2胸椎の高さに、
「腰膨大」は、第12胸椎から第1腰椎の高さに存在します。
実はこのように、脊柱に比べて、脊髄は長さが短いため、
脊椎の髄節番号と脊椎の棘突起番号にはズレが生じるのです。
また、頚椎は7個に対して頸髄節は8つであることもズレの要因となります。
一般的にそれらの関係は以下のようになります。
①上位頚椎は棘突起番号と髄節番号が一致
②下位頚椎は棘突起番号+1が髄節番号と一致
③上位胸椎は棘突起番号+2が髄節番号と一致
④下位胸椎は棘突起番号+3が髄節番号と一致
⑤第11胸椎棘突起の高さは、第1〜5腰髄節と一致
⑥第12胸椎棘突起の高さは、第1〜5仙髄節と一致
損傷高位の診断方法
損傷高位の診断方法については、Michalis,L.S.は以下のように定義している。
機能的レベル
機能的レベルでは、健全な末節の髄節番号で表現します。
つまり、機能残存最下位髄節で示すのです。
例えば、C5レベルは完全に残存していて、C6レベルが損傷している場合は、
・C5機能残存
・C6損傷
・C6頸髄損傷
などと呼びます。
損傷レベル
損傷レベルでは、損傷髄節そのもので表現します。
つまり、損傷の最上位の髄節番号で呼びます。
例えば、C5レベルは完全に残存していて、C6レベルが損傷している場合は、
・C6頸髄損傷
と直接表記する方法です。
脊髄損傷に関するその他の記事はこちら
→脊髄損傷における主要残存筋と、その機能とは?
→脊髄損傷における損傷レベルごとの残存機能や能力とは?
まとめ
脊髄損傷における損傷高位レベルの診断や決定方法などについて解説しました。
リハビリテーション医学などにおいては、
残存機能を重視するため、「機能的レベル」のように残存髄節レベルで表記することが適していると言われているようです。
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