大腿骨転子下骨折とは?特徴や手術方法、リハビリテーションのポイントは?
大腿骨の骨折は、
近年の高齢化社会において、増加の一途をたどる疾患です。
高齢になると、骨粗鬆症により、骨の脆弱性が進行し、
転倒などの軽微な外力でも容易に骨折に至ります。
大腿骨の骨折と一概に行っても、
その部位によって原因や症状、その治療方法なども異なります。
多くは、手術療法を必要とする場合が多く、
受傷後の日常生活へ復帰するためのリハビリテーションも必須となります。
大腿骨の骨折の中でも頻度の高いものとしては、
・大腿骨頸部骨折
・大腿骨転子部骨折
が挙げられます。
いずれも転倒などの外力で生じる脆弱性骨折です。
大腿骨の骨折に関する記事はこちら
→大腿骨頸部骨折とは?原因や症状は?治療方針は?
→大腿骨転子部骨折とは?手術の種類は?骨接合術ってどんな手術?
大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折は、
関節包の内側か外側かによって分けられており、
前者を「大腿骨頸部内側骨折」、
後者を「大腿骨頸部外側骨折」と呼びます。
さらに、付け加えると、大腿骨頸部外側骨折には、転子部骨折のほかにももう一つ、
【大腿骨転子下骨折】が存在します。
大腿骨転子部よりさらに遠位である位置の骨折です。
頻度は少ないものの、受傷後の骨癒合は遷延することが多いという特徴があります。
今回は、大腿骨転子下骨折の特徴や手術方法、リハビリテーションのポイントついて解説します。
大腿骨転子下骨折の特徴は?
まず、大腿骨転子下の位置ですが、
大腿骨頸部の外側である転子部よりも、さらに遠位の部分です。
転子下骨折は、転子部と骨幹部の移行部の骨折であり、
転倒などによる外力よりも、より強力な外力によって生じます。
そのため、若年者の労働災害や交通事故などが多く、粉砕骨折を呈すこともしばしば…
大腿骨には、長く強力な筋肉が多く付着しており、
骨折後は、転子下のレバーアームの長さから容易に、
内反力や回旋ストレスが生じます。
このような理由から転位をきたしやすく、より強固な固定が求められます。
大腿骨転子下骨折の手術療法は?
大腿骨転子下骨折の治療方法は、
【手術療法】です。
大腿骨転子部骨折で用いることも多い、
・CHS
・ガンマネイル
などのプレートや髄内釘が使用されます。
転子部骨折の手術療法はこちら
→大腿骨転子部骨折とは?手術の種類は?骨接合術ってどんな手術?
転子下骨折では、骨折線がより遠位に達しているため、
いずれの固定法でも、long plateやlong ガンマネイルが用いられます。
より強固な固定が得られることは確かですが、
手術侵襲が大きいことも特徴の一つです。
大腿骨転子下骨折のリハビリテーションは?
大腿骨転子部骨折のリハビリテーションの最大の目標は、
【歩行の獲得】です。
これは、多くの下肢の疾患や外傷でも同様のことが言えます。
手術手技が異なる点で、それぞれの疾患特有のリハビリテーションが行われます。
しかしながら、荷重時期が異なる点において違いはあるものの、
おおよそ、大腿骨頸部骨折などと同様の経過をたどります。
ちなみに、大腿骨転子下骨折は、術後4週程度から部分荷重を開始し、全荷重までには術後8週程度の時間を要します。
詳しくはこちらを参照して下さい!
→大腿骨頸部骨折の手術後のリハビリテーションの内容は?期間はどのくらい?
その中でも、
大腿骨転子下特有の難しさは、
【関節可動域制限】です。
先にも述べたように、非常に手術侵襲が大きな手法を用います。
具体的には、大腿の外側を大腿骨に沿って大きく切開し、外側広筋や長脛靭帯にも侵襲が加わります。
術後早期から同部位の疼痛とともに、瘢痕形成から強固な拘縮となりやすいのです。
改善のポイントは、術後早期からの
・浮腫の減退
・筋スパズムの軽減
を行うことです。
術後早期の関節可動域制限の多くは、術後の浮腫や筋スパズムによるコンパートメント内圧の上昇です。
これらを適切に管理することが、良好な関節可動域獲得のポイントとなります。
まとめ
今回は、大腿骨転子下骨折の特徴や手術方法、リハビリテーションのポイントについて解説しました。
手術侵襲の大きさから、術後の疼痛も、その他の大腿骨疾患と比して強いことが言えます。
疼痛に伴う筋スパズムはコンパートメント内圧の上昇から、
関節可動域制限の原因となるという悪循環を呈すため、
術後早期からそれらの問題に対応できるようにしましょう。
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