腓骨神経麻痺って治るの?治療やリハビリテーションの方法は?
腓骨神経麻痺という疾患をご存知でしょうか!?
下腿の運動や感覚を司る腓骨神経麻痺は、
歩行を始めとして、日常生活動作に支障をきたすことがあります。
腓骨神経麻痺は、リハビリテーションなどの幾つかの治療方法があります。
腓骨神経は、
“坐骨神経から分枝し、腓骨頭の後方から下腿後面を走行する神経”
です。
前脛骨筋や長短腓骨筋などの運動を支配し、
足背の感覚などを司ります。
腓骨神経麻痺には幾つかの原因があります。
手術後に、下肢が外旋位での臥床が続いたり、
ギプスや装具での固定により圧迫されたりすることで腓骨神経が直接的に損傷されます。
また、人工骨頭置換術や人工股関節全置換術のように、股関節の手術によって腓骨神経の大元である坐骨神経の損傷を受けることで、間接的に腓骨神経の損傷を受けることもあります。
代表的な症状としては、
支配筋の運動麻痺による【下垂足】や、
支配領域の感覚障害が挙げられます。
腓骨神経麻痺の概要はこちらを参照
→腓骨神経麻痺とは?原因や症状は?術後の合併症として注意!
一度、損傷した腓骨神経は回復するのでしょうか!?
今回は、腓骨神経麻痺の治療やリハビリテーションの方法について解説します。
腓骨神経麻痺って治るの?
一度損傷した腓骨神経は回復するのでしょうか!?
損傷が軽く、症状が軽度であれば、治療によって回復する可能性が高いです。
正座によって足が痺れる状態も一種の神経麻痺ですが、すぐに改善しますよね?
腓骨神経麻痺も同じように短時間の神経の圧迫であれば改善します。
しかしながら、術中の操作による神経の断裂や過度の伸長、直接的な損傷のように、重度の損傷や症状は改善しない場合もあります。
ただ、改善の可能性は治療をしてみないと分からないのが現実です。
まずは、以下に記載するような様々な治療を試みてみましょう!
腓骨神経麻痺のリハビリテーションは?
腓骨神経麻痺の治療は、基本的に保存療法です。
・運動療法
・物理療法
・装具療法
が主に適応となる治療法です。
運動療法
運動療法では、下垂足となった足に対して、直接的に
・前脛骨筋
・長短腓骨筋
などの筋力トレーニングを行います。
具体的な方法は、足関節の【底背屈運動】を繰り返し行うことです。
ただし、筋収縮が全く得られない、MMT0レベルの場合は、適応とはなりません。
理学療法士などとのリハビリテーション場面であれば、足の運動をサポートしてもらいながら行う方法も効果的です。
物理療法
物理療法では、「電気治療」が用いられます。
電気治療とは、【低周波治療】とも呼ばれます。
具体的な方法は、神経損傷によって、
筋力低下を起こした前脛骨筋に低周波の電流を流すことで筋収縮を引き起こさせます。
わずかな筋力を感知して増幅する使い方もあれば、
完全に電流によって筋収縮を誘発させるなど様々な方法や強度があり、適応が広いのがメリットです。
ただし、素人では、電極の添付部位などが難しいので、最初は理学療法士などの専門家の指導のもとで行いましょう。
装具療法
下垂足のままでは、歩行時などに足尖が床に引っかかるため、転倒のリスクが高まります。
装具療法は、短下肢装具を用いることで、足部が下垂しないように防ぐ方法です。
正確には、治療というよりは、代償手段といったところでしょうか?
具体的な装具として用いられることが多いのは、
【オルトップ】と呼ばれるプラスティック製の装具です。
軽量かつ安価で、装着したままでも靴が履けるという利点があります。
何と言っても、足を背屈位に保てることで、
つま先の引っ掛かりを気にせずに歩行訓練などが行えるために、
非常に有用な装具と言えるでしょう。
まとめ
今回は、腓骨神経麻痺の治療やリハビリテーションの方法について解説しました。
せっかく手術がしたのに、
合併症で「足が動きません」なんて言われたらどうでしょうか?
ショックで立ち直れないですよね。
ただし、諦めるのはまだ早いです。
訓練によって完全とまではいかないかもしれませんが、比較的回復しやすい疾患です。
めげずに継続的にリハビリテーションを行っていきましょう。
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