腰椎圧迫骨折の好発部位は?再発のリスクはどのくらい?
腰椎圧迫骨折は、骨粗鬆症を有する高齢者に多発する骨折です。
尻もちをつくなどの軽微な外傷が受傷機転となり、
高齢社会到来の今、ますます増加の一途をたどる疾患と言われています。
また、一度骨折をきたした場合、再発のリスクなども増大するため注意が必要です!
腰椎圧迫骨折は、脊柱の中でも下位に存在する腰椎の椎体の骨折です。
文字通り、外力などによる圧迫力で圧壊することを基本としますが、実は何の誘引なく骨折することもあるのです。
これは、高齢者特有でもある「骨粗鬆症」を患っているためであります。
骨粗鬆症は、55歳以上の女性に多く、我が国おいても1,000万人にも達すると言われています。
そのため、尻もちなどの軽微な外力以外にも、
・重量物の持ち上げ
・身体の捻り
・強い前屈
などでも容易に骨折を生じることがあります。
前述のように、受傷機転は様々ですが、受傷部位はある程度決まった部分に生じることが多いのです。
その部位とは、
【胸腰椎移行部(胸椎11-腰椎2)】
と言われています。
また、腰椎圧迫骨折は一度受傷すると、再発するリスクが高いとも言われています。
そこで今回は、腰椎圧迫骨折の好発部位や再発のリスクについて詳しく解説します。
腰椎圧迫骨折に関する詳しい記事はこちら
→腰椎圧迫骨折とは?原因や症状、治療方針は?
腰椎圧迫骨折の手術に関する詳しい記事はこちら
→腰椎圧迫骨折の手術療法とは?その種類は?
腰椎圧迫骨折の好発部位は?
腰椎圧迫骨折の好発部位は、
【胸腰椎移行部(胸椎11-腰椎2)】
です。
腰椎圧迫骨折とはいえど、腰椎より上部の胸椎を含む、移行部に好発しやすいと言われています。
では、なぜこの部位に生じやすいのでしょうか!?
その理由は、
・脊柱の生理的彎曲の移行部
・回旋の可動域が最も大きい部位
・傍脊柱筋の保護作用の脆弱部
などが原因として考えられています。
図を見てもらうと分かるように、下位の胸椎は最も後弯している部分であり、腰椎との移行部でその彎曲が切り替わるのです。
また、胸腰椎移行部は回旋可動域が最も増大する部位(環軸関節を除く)であり、力学的負荷が大きい部位です。
さらには、傍脊柱筋の保護作用の脆弱部でもあり、これらの理由から腰椎圧迫骨折の好発部位なのです。
腰椎圧迫骨折の分類方法に関する記事はこちらを参照ください!
→腰椎圧迫骨折の診断や判定方法は?分類方法はある?
腰椎圧迫骨折の再発リスクは?
腰椎圧迫骨折の治療法は、第一に保存療法が選択されます。
コルセットなどの装具を用いて、受傷部の安静と、二次的障害に対するリハビリテーション治療などが主流となります。
コルセットの種類や効果に関する記事はこちら
→腰椎圧迫骨折の保存療法!コルセットの効果とは?
その多くは一定期間の安静と、装具の装着によって軽快し、予後も良好と言われています。
しかしながら、その一部は少しずつ椎体の圧潰が進み、
・脊柱の後弯変形を呈する
・脊髄、あるいは脊髄円錐部を圧迫し遅発性の神経障害を起こす
などのリスクがあります。
さらに、1つの椎体骨折が発生すると、骨折椎体の上下椎体に力学的ストレスが集中すると言われています。
このことにより、更なる腰椎の後弯変形が進み、腰背筋への負荷も増加により慢性的な背筋痛が生じるようも少なくありません。
また、1つの椎体の骨折が起こると隣接椎体の骨折のリスクが、骨折がない場合に比較して、
約5倍以上も増加することが報告されています。
このような再発リスクは、元々の骨粗鬆症という原疾患が改善されない限り、残存するものでありますが、少なくともリハビリテーションによる筋力強化や、生活指導による再発防止への取り組みが重要となります。
腰椎圧迫骨折の再発リスクは?
今回は、腰椎圧迫骨折の好発部位や再発のリスクについて詳しく解説しました。
一度、圧迫骨折を受傷してから、毎月のように同部位、または隣接関節を骨折して入退院を繰り返す患者様も少なくありません。
骨折すればするほど、その再発リスクが高まるわけですから、どこかでこの負のスパイラルを断ち切らなければ永続的に繰り返してしまう可能性もあるわけです。
骨粗鬆症そのものを治療することと、リハビリテーションによる運動療法、生活指導によって予防することが最も大切なことであると思います。
腰椎圧迫骨折のリハビリテーションに関する詳しい記事はこちら
→腰椎圧迫骨折のリハビリテーション方法や禁忌事項とは?
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