人工膝関節置換術(TKA)でも脱臼ってするの?脱臼したらどうする?
人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty:以下TKA)は、
変形性膝関節症に対する手術療法の一つです。
疼痛や歩行能力の改善が見込まれ、
昨今では多くの方が手術療法を行なっています。
そんなTKAでもごく稀に脱臼することがあるってご存知ですか?
TKAは、
変形性膝関節症や関節リウマチなどによって変性した膝関節を、
人工物に入れ替える手術です。
多くの方に除痛や歩行能力の改善を認め、
現在では多くの病院でTKAが施行されているので、
人工膝関節置換術という言葉はもはや誰しもが聞いたことがあるでしょう。
→変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?
TKAは非常にメリットの多い手術療法ですが、
・正座が出来ない
・激しいスポーツが出来ない
等の制約も一部生じます。
(そもそも痛みのために多くの人はもともと出来ませんが…)
そんなTKAにもごく稀に生じる合併症があります。
それが“脱臼”です。
“脱臼”といえば、人工股関節全置換術(THA)に生じる合併症の一つとして有名ですが、
極々稀にTKAにも生じることがあるのです。
そこで今回は、人工膝関節置換術(TKA)に生じる脱臼について解説します。
人工膝関節置換術(TKA)で生じる脱臼とは?
TKAで生じる脱臼は非常に稀であり、
THAのように多くの報告がありません。
そんな中でも生じる可能性がある脱臼の一つが、
「膝蓋骨の脱臼」
です。
大腿骨・脛骨・膝蓋骨の3つの骨の接する面の損傷部位を
人工物に置き換えるのがTKAです。
→変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?
膝屈曲に伴い、大腿骨下部の形状に沿って下方に滑らかに移動する膝蓋骨ですが、
この時に側方からの牽引力が生じたりすることで外側への脱臼をきたすことがあるのです。
特に膝をひねる動作をした場合に生じることが多いです。
その危険因子の一つとして報告されているのが、
【インプラントの設置不良】です。
具体的には、
・大腿骨、脛骨コンポーネントの内旋設置
・膝蓋骨コンポーネントの外側設置
などが挙げられます。
さらに、
・膝蓋骨骨切り量不足
・内側膝蓋支帯の緩み
・展開法
などがあります。
これらはいずれも術者側の問題となるのでなかなか自分で予防することは難しいです。
素人でも分かりやすいリスクの一つに外反膝(いわゆるX脚)がありますが、こちらも自分で予防することは難しいです。
膝蓋骨が脱臼したらどうなる?
ではもし、膝蓋骨が脱臼してしまったらどうするのでしょうか?
先にも述べたようになかなか自分でどうにかすることはできません。
通常は、再手術によって改善が図られます。
完全に脱臼している場合は、
足にうまく力が入らず歩くことは難しいので仕方がありません。
一方で、亜脱臼程度であったら、
膝蓋骨を側方から牽引し安定作用を持つ筋肉を鍛えることで予防を図ることもあります。
しかしながらこれはかなり専門的な知識が必要であり、
そもそも先のような脱臼につながるリスク要因も持っている場合、不用意な筋力増強訓練が脱臼を誘発する場合もあるので、
必ず医師や理学療法士の判断や指導を仰ぐ必要があります。
まとめ
今回は、人工膝関節置換術(TKA)に生じる脱臼について解説しました。
TKAで生じる脱臼の一つに膝蓋骨の脱臼があります。
(その他にも外傷などもあります)
多くは手術そのものによって生じた要因が多く、
一度生じた場合は、もう一度手術療法などによって改善を図る必要があります。
THAによる脱臼はこちらを参照下さい!
→人工股関節全置換術後の脱臼の原因や時期は?
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