コルセット装着で「筋力低下が起きる」というのは嘘!?

    
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「コルセットを装着していると筋力が低下する」

腰痛をお持ちの人なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。

これって本当なのでしょうか!?

 

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コルセットを装着する代表的な疾患といえば、

・ぎっくり腰(正式には急性腰痛症)
・腰椎(胸椎)圧迫骨折
・椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症を始め、種々の腰部疾患の術後

などが挙げられますね。

 

そもそもコルセットの目的は、

変形の予防や矯正をしたり、安静を目的とした固定

さらには腹圧の上昇などがあり、

それらの結果、疼痛の抑制につながったりもします。

 

さて、ここで

「コルセットを装着していると筋力が低下する」

という言葉を聞いたことがありませんか!?

 

腰痛患者の間では、

都市伝説のように蔓延しているこの仮説ですが、果たして本当なのでしょうか!?

 

その答えは、

実はそのような根拠(エビデンス)はないそうです。

今回は、巷で蔓延するコルセット装着で「筋力低下が起きる」という説について考えてみます。

なぜそのような仮説が生まれた!?

そもそもなぜ、

コルセットを装着すると「筋力低下が起きる」という仮説が生まれたのでしょうか!?

 

おそらくではあるが(としか考えられないが..)、

人の身体を重力に抗して鉛直に支持するには、

脊柱の後面にある「脊柱起立筋」の持続的な活動が重要となります。

 

また、それだけではなく脊柱の前面の腹部を取り巻く「腹部の筋」の協調的な活動による

腹圧の維持が必要となります。

 

後方の筋肉で脊椎を起立させ、

内臓を含む臓器を囲みながら前方からも押し返しているイメージですね。

 

これらの筋の働き無くして身体の保持は成り立ちませんが、

冒頭に述べたようにコルセットの目的は、

・安静を目的とした固定

・腹圧の上昇

などがあり、本来筋肉が行う活動をコルセットが果たしてくれるというわけです。

 

そんなこんなで、

コルセットを装着すると「筋力低下が起きる」という仮説が生まれたのでしょう!

 

コルセットの効果に関してはこちら
腰椎圧迫骨折の保存療法!コルセットの効果とは?

 

 

本当に筋力低下は生じないのか!?

本当にコルセットを装着しても「筋力低下は生じない」のか!?

 

これらの事実を報告した研究があります。

 

理学療法士である三木貴弘氏が発表した論文にて、

軟性の腰仙椎装具を1ヶ月〜半年装着した人たちのシステマチックレビューの結果、

「長期間のコルセット使用において体幹筋群の筋力低下は生じない」

と結論づけているのです。

 

これは北米の脊椎学会の公式雑誌である『The Spine Journal』にて2017年に発表されたもので、

詳細は論文を参照いただきたい。

The impact of continuous use of lumbosacral orthoses on trunk motor performance: a systematic review with meta-analysis

 

個々の症例では、

もしかしたら筋力低下が生じたという症例がいるかもしれないが、

少なくとも現在までにコルセットを装着すること筋力低下が生じるということに根拠(エビデンス)がないということなんです。

 

 

実は疼痛も改善する根拠はない!?

「疼痛軽減=コルセット」

この概念も半ば当たり前の理論ではありますが、

実は、これらについても科学的根拠が認められていないようです。

 

しかしながら、実際にはコルセットをつけることで、

脊柱そのものの動きが制限され活動そのものが低下することで疼痛が軽減することは、

実感として感じるところは多いと思います。

 

 

心理的効果は大きい!?

「コルセットがないと不安」

これは長らくコルセットを装着してきた人にとっては、

急に外さなければならない場合に感じることでしょう。

 

コルセットに対する心理的な安心感というのは間違いなくあるのではないでしょうか。

つけているだけでなんとなく痛くない気も..

 

でもそれは、ある意味コルセットに対する依存が強くなっている状態とも言えます。

欲を言えば、コルセットを外すために、今度は自身の身体機能を高めよう!!

という方向へつながっていくと良いですね。

 

 

まとめ

今回は、コルセットを装着すると「筋力低下が起きる」という説について考えてみました。

システマチックレビューの結果にて、

そのようなエビデンスがないことが言われており、これまでのところ事実ではないようですね。

ただし、一概に効果がある!ない!などの見解で判定するのではなく、

腰痛に至る原因や病態も様々であるため、

医師や理学療法士などの専門家の意見を聞くことが正しい選択と言えるでしょう。


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