軸椎骨折(歯突起骨折)とは?症状や治療法、必要となる装具とは?
転倒によって頭部を強打したり、
乗車中に後方から追突されたりと、
頭部や頚部に衝撃が加わることで、頚椎などに重篤な外傷を負うことがあります。
「軸椎骨折」という骨折をご存知でしょうか!?
転倒や交通事故によって生じる、
外傷性の上位頚椎損傷の中では、比較的に頻度の多い外傷です。
“軸椎”とは、
7つある頚椎の中でも上位から2つ目の椎骨です。
軸椎は他の頚椎とは異なった形状をしており、
「歯突起」と呼ばれる椎体上面から垂直に伸びる突起を有しており、
第1頚椎(環椎)と連結しています。
「軸椎骨折」にもいくつかの種類があり、
・軸椎関節突起間骨折
・軸椎椎体骨折
に加え、「歯突起骨折」があります。
この「軸椎歯突起骨折」は、
後方に脊髄が走行しているため、脊髄に転位などが及ぶと、
神経障害が出現し、いわゆる“脊髄損傷”という疾患に該当します。
事実、頸髄損傷の中でもおおよそ10%の頻度を占めるなど、
比較的頻度の高い外傷と言えます。
そこで今回は、軸椎骨折(歯突起骨折)の原因や症状や治療法、必要となる装具について解説します。
脊髄損傷に関する記事はこちら
→脊髄損傷とは?原因や好発年齢は?
→脊髄損傷の合併症とは?褥瘡や異所性骨化に注意!
Contents
軸椎骨折(歯突起骨折)とは?
まず“軸椎”の位置を確認します。
軸椎は、7つある頚椎の上から二つ目の椎骨です。
この椎骨は、“歯突起”と呼ばれる突起があり、
この突起と第1頚椎である環椎が連結して、
主に頭部の回旋運動を可能としています。
軸椎骨折(歯突起骨折)の原因とは?
軸椎骨折(歯突起骨折)の原因には、
・転倒による頭部の強打
・交通事故
が受傷のほとんどを占めます。
交通事故では年齢差はないものの、
転倒などによる外傷は高齢者が多数を占めており、
軽微な転倒による外傷でも骨折することがあるのです。
軸椎骨折(歯突起骨折)の症状とは?
軸椎骨折(歯突起骨折)を起こすことで生じる症状は、
当然ながら“激しい頭痛”が生じます。
しかしながら最も深刻な症状は、
いわゆる“脊髄(頸髄)損傷”であり、
骨折した突起が後方を走行する脊髄に達してしまうことで生じる神経症状です。
運動麻痺はもちろんのこと、
痺れや感覚障害、膀胱直腸障害など、損傷された神経によって様々な症状が出現します。
脊髄損傷に関する詳しい解説はこちら
→脊髄損傷とは?原因や好発年齢は?
→脊髄損傷における完全麻痺と不全麻痺の判定方法は?
→脊髄損傷における損傷レベルごとの残存機能や能力とは?
軸椎骨折(歯突起骨折)の治療法は?
軸椎骨折(歯突起骨折)の治療法は、
骨折のタイプにより異なるものの、
・手術療法
・保存療法
に大別されます。
手術療法では、screwなどを用いて行う骨接合術や、
環軸椎後方固定術などが行われます。
一方、保存療法では、
頚椎装具などを用いて受傷部の安定を図ります。
軸椎骨折(歯突起骨折)で用いられる装具は?
保存療法で用いられる頚椎装具は、
受傷部の安定を目的に行われます。
代表的なものに、
Philadelphia collarと呼ばれる頚椎カラーがあり、
比較的転位などが少ない場合に用いられます。
転位が大きいものに対しては、
直逹牽引などを施行した上での、ハローベストによる固定なども行われます。
ハローベストは、頚椎から上位胸椎の固定を目的に用いられる装具で、
頭蓋骨を直接ピンで固定するため、より強固な固定が得られます。
軸椎骨折などで、頭部の回旋が転位拡大のリスクとなる場合にも適応となります。
脊髄損傷に関するリハビリテーションはこちら
→脊髄損傷のリハビリテーション「関節可動域訓練」の目的や方法は?
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