エクステンションラグの改善方法とは?
「エクステンションラグ」とは、
膝関節のactiveによる伸展運動(エクステンション)と、
passiveによる伸展運動の差(ラグ)が生じていることです。
このような膝関節伸展機構の改善は術後早期の重要な課題となります。
「エクステンションラグ」は、
1984年、整形外科医であるHoppenfeldによって以下のように定義されています。
“膝関節伸展の最終10°が出来ないか、もしくは最大努力においてかろうじて伸展し終えることができる”
このように定義されています。
もう少し噛み砕いて言うと、
「膝関節伸展関節可動域には制限がなく、他動運動において完全伸展出来るにもかかわらず、自動運動においては、完全伸展出来ない」
このような病態と言えます。
エクステンションラグを改善するには、
その原因を正しく評価することが重要です。
エクステンションラグの原因はこちら
→エクステンションラグとは?その原因は?
そこで今回は、エクステンションラグの改善方法について解説します。
Contents
エクステンションラグの改善方法とは?
エクステンションラグが生じる原因は様々であり、
正しい原因を評価しなければ、正しい治療には結びつきません。
エクステンションラグの原因はこちらから確認してください。
→エクステンションラグとは?その原因は?
原因別に、エクステンションラグの改善方法を解説します。
内側広筋の機能不全説
内側広筋の機能不全によって生じるエクステンションラグでは、
当然ながら、膝関節の単関節運動を繰り返しても変化はありません。
Quad Setthingのように、
膝関節軽度屈曲から伸展域において収縮が得られるよう、
膝窩に枕などを挿入して行いましょう。
詳しい方法はこちら
→大腿四頭筋(クアド)セッティングの効果や方法は?
腫脹や水腫による神経生理学的抑制説
人工膝関節置換術などの術後の、
腫脹や水腫などが存在する場合には、
大腿四頭筋の反射性の筋出力抑制が働きます。
→変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?
このような場合には、まずは術後の炎症の沈静化を優先します。
具体的には、アイシングや挙上、弾性ストッキングなどの圧迫を適切に施行し、適切に炎症を管理しましょう。
疼痛による反射性抑制説
疼痛による反射性の大腿四頭筋出力抑制に対しても、
根本は炎症による反応であるため、
前述と同様に、アイシングなどによる炎症反応の沈静化を優先します。
誰でも痛いうちは十分な力を発揮出来ません。
また、必ずしも疼痛を抑制できるとは限らず、
ある程度の時間経過による創治癒が必要な場合もあります。
筋繊維の変性による最大張力低下説
筋力・筋出力が不十分だからといって単純に運動だけで改善するとも限りません。
筋繊維が十分に伸張性に富み、
筋収縮の際に筋繊維同士が十分に短縮できなければなりません。
そのためには、膝関節屈曲方向のストレッチングや、
大腿四頭筋自体のモビライゼーションなども有効となります。
まとめ
今回は、エクステンションラグの改善方法について解説しました。
原因別に述べたものの、
実際には幾つかの原因が重複している場合はほとんどです。
何度も言いますが、重要なのは、原因を正しく評価することです。
そのための手段として、上記のような治療方法の効果を検証することで、
仮説を立証していくことも良いかもしれません。
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