反復性肩関節脱臼の禁忌肢位は?
「肩関節脱臼」は、
身体の中でも最も頻度の高い脱臼であり、
全関節の脱臼の中でも50〜80%程度を占めると言われます。
その治療方法は、整復術や手術療法がありますが、
固定期間中には、動かしてはいけない方向があります。
「反復性肩関節脱臼」とは、
肩関節の脱臼が習慣的に生じやすくなり、
何度も反復して脱臼が起こる病態です。
肩関節は、広い関節可動域を有する一方で、
その構造は、靭帯や筋性の支持に依存するため、
脆弱な関節と言えるでしょう。
とりわけ激しいコンタクトスポーツによって、
生じやすく、その多くは、
【前方脱臼】です。
詳しい記事はこちら
→反復性肩関節脱臼って何?治療方法は?
治療方法には、整復法や手術療法がありますが、
いずれも治療直後には、特定の方向での固定を強います。
なぜなら、再脱臼の危険性があり、特定の運動方向は禁忌肢位となるのです。
肩関節脱臼のメカニズムは?
肩関節脱臼の多くが【前方脱臼】であり、
その割合は、他の方向の脱臼と合わせても9割以上と言われています。
肩関節が前方へ脱臼するメカニズムは以下のようです。
転倒で手をついた際や、タックルなどの衝撃によって、肩関節が
【外転・外旋】方向へ強制されます。
その際に、肩峰が上腕骨頭に対して、
テコの支点の役割を果たし、上腕骨頭が、
構造上の脆弱性を有す前方の関節包を突き破り脱臼します。
さらに、関節唇の損傷や、微小骨折、肩甲下筋や棘上筋の損傷などを合併することもあります。
肩関節脱臼治療後の禁忌肢位は?
肩関節が前方へ脱臼するメカニズムは理解できましたか!?
つまり、前述した、
肩関節の【外転・外旋】方向が禁忌肢位となるのです。
※ここに荷重が加わるとさらに危険です。
肩関節脱臼後の治療方法には、
整復術や手術療法がありますが、
いずれも、治療後には固定期間を設けます。
一度脱臼した肩関節は再脱臼の危険性が高いためです。
その時の固定肢位は、肩関節
【軽度屈曲・内旋位】となります。
ちょうど三角筋を装着するような姿勢となり、実際には「スリング」などを用いた固定を行います。
そのため、術後のリハビリテーションなどでも、
特に早期ではこのような禁忌肢位を強制しないように十分注意を払いながら行う必要があるのです。
まとめ
今回は、(反復性)肩関節脱臼の禁忌肢位について解説しました。
治療後であれば、医師または理学療法士などの専門家の指導のもと、
リハビリテーションを進めていくので、禁忌肢位などの指導も受けることでしょう。
ただし、自宅で療養している場合や、治療後数年経過した場合にも、このような方向には注意が必要なので、禁忌肢位には十分に注意しましょう。
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