術後に生じる炎症の4兆候とは?その期間は?

    
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「手術」といえば一般的に、

“痛い”から嫌だ!

と思うことでしょう。

 

しかしながら、術後の”疼痛”は正常な身体の反応であり、

【炎症症状】の一つに数えられます。

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「手術」というのは、

合法的に身体に加えられる外傷の一つです。

 

膝関節や股関節など、

部位を問わずこのような侵襲は“疼痛”を招きます。

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それだけではなく、疼痛に加えて出現する

発赤・腫脹・発熱は、

代表的な炎症症状です。

 

この4つの炎症症状を、【炎症の4兆候】と呼ばれます。

※これに機能障害を加えて炎症の5兆候とも言います。

 

そこで今回は、術後のリハビリテーションなどにも重要な、

炎症の4兆候について、そのメカニズム期間などを解説します。

炎症とは?

炎症は、外界からの異物や細菌を排除して、

生体の恒常性を維持するための反応です。

 

細菌感染などは良い例ですが、

手術などで生じる外傷においても、炎症反応は出現します。

 

生体に生じる正常な反応であり、

特に術後は、異常な経過を辿らなければ自然に回復する過程の一つです。

 

 

 

炎症の経過は?

外傷後の急性期や、術後早期に生じる炎症は以下のような経過をたどります。

 

 

【炎症の第1期】

外傷などの何らかの刺激が加わると、血管の破損などの止血が開始します。

エンドセリンと呼ばれる化学物質により、

破損した血管が一過性に収縮します。

その後、血小板が破損した血管に集まり、止血されます。

 

このような一過性の血管収縮の後、

血管の拡張が生じます。

 

この血管の拡張は、ブラジキニンヒスタミンと呼ばれる

化学物質が作用することで生じ、

直後に血漿等、血液の液体成分が漿液として滲出し、腫脹となります。

 

 

【炎症の第2期】

続いて、白血球が血管の内皮に接着し、

血管外へと滲出することで病巣へ移動します。

 

白血球は、血液に含まれる細胞成分の一つであり、

体内に侵入した細菌や異物を貧食します。

 

 

【炎症の第3期】

体内に侵入した細菌や異物の除去が完了すると、

炎症に作用した化学物質は中和され、血流も正常に回復します。

 

損傷した部位は、肉芽形成血管の新生などが生じ、

徐々に元通りへと回復します。

 

 

 

炎症の4兆候とは?

疼痛・発赤・腫脹・発熱炎症の4兆候と言います。

 

上記で炎症の過程をご覧になりましたか?

この過程の中で、炎症の4兆候が生じます。

 

刺激された組織の血管が拡張し、局所の血流が増加することで、

【発赤・発熱】が生じます。

 

拡張した血管から血液成分の滲出が起こると、

【腫脹】が生じます。

 

放出される化学物質が、

【疼痛】の原因となるのです。

 

 

 

炎症の期間は?

手術後の急性炎症は、

多くの場合、1週間程度で安静時の疼痛は軽減します。

 

しかしながら、その後も腫脹や発熱が残存することが多く、

運動時の痛みも残存します。

 

部位や手術侵襲の大きさの違いにより一概には言えませんが、

TKAなどの手術後は、少なくとも1ヶ月程度は炎症が持続する印象があります。

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※実際には、術中の止血の適切さや皮切の大きさなど、医師の技術に左右されることが多いです。

 

 

 

まとめ

術後の炎症症状は、

長引けば長引くほど、自分で能動的に動くということが阻害され、

場合によっては慢性痛に移行してしまうこともあります。

運動機能の回復だけでなく、早期から炎症に対する管理を優先する必要もあるのです。


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