腰部脊柱管狭窄症の好発部位や診断方法とは?
腰部脊柱管狭窄症は、脊髄の通り道である脊柱管の狭窄で生じる疾患です。
60歳以上の高齢者に好発する退行性疾患です。
下肢の痺れや感覚障害、運動麻痺を主症状としますが、
その好発部位や診断方法をご存知ですか!?
腰部脊柱管狭窄症は、
“加齢などが要因となって椎骨や椎間板の脆弱性や、靭帯の肥厚などによって脊髄の通り道である脊柱管が狭窄することで下肢の神経症状が生じる疾患”
です。
具体的な症状として、
・下肢の痺れや感覚障害
・下肢の運動麻痺や筋力低下
・膀胱直腸障害
などが生じます。
腰部脊柱管狭窄症の詳しい記事はこちら
→腰部脊柱管狭窄症とは?原因や症状、その治療方法は?
これらの症状は、必ずしも全ての患者に生じるわけではありません。
脊髄は、四肢の運動や感覚を支配する神経が束になって集まっています。
そのため、狭窄の部位によって、その神経支配領域も異なるので、症状の部位や重症度なども異なるのです。
腰部脊柱管狭窄症のタイプはこちら
→腰部脊柱管狭窄症の分類やタイプは?
では一体、腰部脊柱管狭窄症はどの部位に好発するのでしょうか!?
そして、その診断方法はどのように行われるのでしょうか!?
腰部脊柱管狭窄症の好発部位は?
腰部脊柱管狭窄症は、腰椎レベルの高位において、何らかの原因によって脊柱管が狭窄します。
その原因となるのは、
・骨性の狭窄(脊柱すべり)
・椎間板変性
・黄色靭帯の肥厚
などが挙げられます。
その中でも、好発部位というものが存在します。
腰部脊柱管狭窄症の好発部位は、多い順に
L4/5、L3/4、L5/S1となります。
※Sは仙髄領域
画像で部位を確認してみます。
ちなみに、好発部位であるL4/5の狭窄が生じた場合は、以下のような症状を呈します。
・臀部や足の背側、母趾の痺れや知覚障害
・前脛骨筋、母趾伸筋の筋力低下 etc
いずれも歩行能力を左右する重要な症状となります。
リハビリテーションを行う際には、このような症状を的確に評価する能力が必要となります。
腰部脊柱管狭窄症のリハビリテーションに関する記事
→腰部脊柱管狭窄症に対するリハビリテーションの評価項目は?
→腰部脊柱管狭窄症のリハビリテーションの方法やポイントは?
腰部脊柱管狭窄症の診断方法は?
上記のような症状を認め、病院などを受診した場合、腰部脊柱管狭窄症はどのように診断されるのでしょうか!?
まず行われるのは、【問診】です。
現病歴として、痛みの部位や程度や質、そして【間欠性跛行】の有無や歩ける距離や時間などを確認します。
これで大抵は脊柱管狭窄症であるとあたりをつけることは可能ですが、実は他にも間欠性跛行を呈す疾患があります。
それは、「閉塞性動脈硬化症」です。
問診だけでは、閉塞性動脈硬化症との鑑別を図るのは困難です。
そこで重要なのは、【画像診断】です。
レントゲンによる方法では、骨の滑りなどの異常は確認できますが、脊柱管の狭窄は分かりません。
そこで行われるのは、【MRI】による診断です。
MRIでは、脊柱管の狭窄を確認することが可能です。
画像診断によって、閉塞性動脈硬化症との鑑別が出来ると同時に、腰椎ヘルニアとの鑑別も可能になります。
ただし、閉塞性動脈硬化症は、MRIを確認したところで、否定したことにはなりません。
その場合は、【血圧脈波検査装置】を用いた検査が必要となります。
事実、腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症が同時に存在している症例もあるようです。
腰部脊柱管狭窄症の手術療法に関する記事
→腰部脊柱管狭窄症における手術療法の種類や方法とは?
まとめ
今回は、腰部脊柱管狭窄症の好発部位や診断方法をまとめました。
腰部には、単純な腰痛だけでなく、ヘルニアや坐骨神経痛、圧迫骨折など様々な疾患があります。
これらの疾患との的確な鑑別を図ることは、的確な治療を行うための条件であることは言うまでもありません。
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