後縦靭帯骨化症に対する手術療法とは?
「後縦靭帯骨化症」は、
加齢に関連した脊椎疾患で、
運動麻痺や、感覚障害はじめとして、日常生活動作を制限する障害が生じます。
重症化した場合には、
【手術療法】が適応となります。
「後縦靭帯骨化症」とは、
脊椎と脊髄の間を走行する“後縦靭帯”が骨化する疾患です。
靭帯の骨化のみでは症状は出現しませんが、
骨化した靭帯が、
後方の脊髄を圧迫することで、
様々な神経症状が出現します。
その症状とは、
圧迫される部位によって異なるものの、
運動麻痺や感覚障害、痺れなどの異常知覚が代表的なものです。
発症の原因として、遺伝的な要因に加えて、
加齢や糖尿病との関連などが示唆されていますが、
明らかなものは解明されていません。
後縦靭帯骨化症の治療法には、
保存療法、手術療法がありますが、
重症化した場合には【手術療法】が適応となります。
今回は、頚椎後縦靭帯骨化症に対する手術療法の種類などを解説します。
詳しい原因や症状はこちら
→後縦靱帯骨化症(OPLL)とは?原因や症状、治療方法は?
頚椎後縦靭帯骨化症の手術療法の種類とは?
頚椎後縦靭帯骨化症に対する手術療法では、
大きく分けて2つ、
前方から行う方法と、後方から行う方法があります。
前者を、“前方固定術”
後者を、“椎弓形成術(脊柱管拡大術)”
と言います。
前方固定術
骨化した後縦靭帯を前方からの皮切により切除し、
椎体の存在していた部分に、自家骨(自分の骨)を移植する手術です。
(自家骨は、”腓骨”を使用するのが一般的)
前方からアプローチするメリットは、
“骨化した靭帯をほとんど切除できる”ことです。
固定というからには、首自体の可動性は損なわれますが、
それ自体は日常動作への影響も少なく、予後は良好とされています。
反対にデメリットは、手術手技に熟練が必要であり、
骨切りの際に、神経を損傷させてしまうことや、髄液の漏れなどの合併症が出現する可能性があります。
椎弓形成術(脊柱管拡大術)
椎弓形成術とは、
首の後ろ側からアプローチし、
脊柱管を形成している椎弓を後方へ開いて、脊柱管を拡大させる手術です。
結果として、脊髄の圧迫が解消されるのです。
前方固定術と比べて、手術手技が容易であり、
比較的安全な手術と言われています。
ただし、頚椎が後弯している症例などでは、
脊柱管の後方を拡大しても、実際には脊髄が除圧されず、
再び圧迫する可能性もあることから、金属で固定するなどの方法も用いられています。
まとめ
今回は、頚椎後縦靭帯骨化症に対する手術療法の種類などを解説しました。
ただし、
実際に後縦靭帯が骨化し、症状が出現していても、
保存療法で十分な場合も多く、手術に至る例は数%程度だそうです。
必ずしも後縦靭帯の「骨化=手術」と言うわけではないようです。
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