変形性膝関節症はなぜ痛い?骨は痛みを感じるの?

    
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「変形性膝関節症」は、

膝関節の軟骨の変性などによって、

主に荷重時の疼痛が主体の退行性の疾患です。

 

「膝が痛くて困っているの」

といっている高齢者の大半がこの変形性膝関節症であるか、

または予備軍であります。

 

では、この痛みはなぜ生じるのかをご存知ですか!?

 

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「変形性膝関節症」は、

加齢や肥満などによる様々な要因によって、

膝関節の軟骨がすり減るなどの変性を生じ、

歩行時の疼痛や関節可動域制限をきたす疾患です。

変形性膝関節症(膝OA)とは?治る疾患なの?リハビリテーションの内容は?

 

日本国内においても、

その患者数は数百万人とも言われ、

中には病院を受診していない潜在患者も多く存在しています。

 

近所のおばあちゃんたちや、

病院の待合室などで

「膝が痛くて…」

こんなセリフはよく耳にしますよね。

 

多くの人は、

“膝の軟骨がすり減り、骨同士が擦れてしまって痛みが生じている”

と思っているようですが、

正解のようで実は微妙に異なります。

 

骨同士が当たるだけで痛みが生じてしまっていては、

人間立っているのも苦痛でならないでしょう。

 

今回は、変形性膝関節症はなぜ痛いのか?

痛みの生じるメカニズムなども踏まえて解説します。

痛みを感じるのはどの組織?

痛みを感じるのは、

刺激が加わる部分に分布する神経の受容器であり、

電気信号によって脳に伝達されることで疼痛を知覚します。

 

実は、骨の実質(骨質ともいう)には、疼痛を感じる神経は存在していません。

 

だって、それを感じていたら、

骨同士が接している部分は常に荷重がかかるだけでめちゃくちゃ痛いですもんね。

(実際には骨同士の間にクッション作用を持つ組織が存在したりします)

 

しかしながら、骨そのものではなく、

骨を覆う膜である「骨膜」には神経が分布しています。

 

そのため、向こう脛などを強打して疼痛を感じるのは、

この骨膜に分布している神経によるものです。

 

 

膝関節にも骨膜は存在する?

膝関節に分布する骨膜は、

関節面を覆っているわけではありません。

 

大腿骨・脛骨ともに骨膜は、

関節を袋状に覆う関節包へと移行しています。

 

関節包は滑膜や繊維膜からなりますが、

これらの組織もまた疼痛を感じる神経が分布しています。

 

関節面に存在するのは、

これらの膜ではなく軟骨組織です。

軟骨組織は疼痛を感じる神経がないので基本的には痛みを感じません。

 

以下のように疼痛を感じやすい部位に関して分かりやすい図があります。

極める変形性膝関節症の理学療法より)

 

やはり骨の実質の部分は疼痛を知覚しないようです。

 

 

変形性膝関節症はなぜ痛い?

では、軟骨がすり減り、骨同士が接触することもある

変形性膝関節症では何が痛みを引き起こしているのでしょうか!?

 

実は、このすり減りによって生じた摩耗粉が、

関節包を形成する組織である「滑膜」へ作用して炎症を生じさせるためなんです。

 

炎症はもちろん、組織を修復させるために必要な修復過程であり、

その過程において水腫が生じたり発熱を伴ったりします。

 

変形性膝関節症を有する人の多くは、

軟骨への負荷を繰り返すことで、

この炎症が慢性化して、荷重などのストレスがまた刺激になって疼痛を再燃させてしまうのです。

 

変形性膝関節症の手術療法はこちら
変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?
UKAってどんな手術?TKAとは違うの?そのメリットは?

 

 

まとめ

今回は、変形性膝関節症で生じる痛みのメカニズムを解説しました。

“膝の骨がすり減るから痛い”

間違いではないですが、

磨り減った結果、摩耗粉が炎症を生じさせることで疼痛が生じるのです。

 

変形性膝関節症に対するリハビリテーションの記事はこちら
【変形性膝関節症】TKA術後のリハビリテーションって何をするの?
変形性膝関節症に対する筋力トレーニングとは?自宅で出来る方法は?


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