人工関節置換術後の身体障害者手帳の取得できる?できない?
「身体障害者手帳」をご存知ですか?
不幸にも何らかの事故や障害を背負った際に、
「身体障害者福祉法」に基づき、「身体障害者手帳」の交付を受けることで、
各地方自治体によって幾つかのサービスを受けることができるのです。
「身体障害者手帳」とは、
「身体障害者福祉法」に基づき、
一定の障がいのある18歳以上の方に対して都道府県知事から交付されるものです。
各地方自治体にもよりますが、
取得することによって受けられる幾つかのサービスがあります。
身体障害者手帳のメリットとして、
・各種税金面の控除
・医療費助成
・公共交通機関の割引
などといった金銭面での様々な優遇があります。
生活に負担が生じるようであれば、取得して損はない制度であります。
身体障害者手帳は、その疾患や重症度によって、7級までの等級が振り当てられます。
肢体不自由に焦点を当てると、四肢の障害の程度に応じて等級が決まります。
ここで気になるのは、
日本でも比較的多くの人が受けている手術である「人工関節置換術」です。
下肢には、人工股関節全置換術や人工膝関節全置換術、さらには人工足関節全置換術などが施行されます。
これらの手術後には「身体障害者手帳」が取得できるのでしょうか!?
人工関節に関する記事はこちらを参照ください!
→変形性膝関節症の手術療法「TKA」とは?他にも手術の種類があるの?
→変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?
→変形性足関節症の手術療法とは?どんな種類がある?
人工関節置換術後の身体障害者手帳の取得できる?できない?
人工関節置換術後の身体障害者手帳の取得できるのでしょうか!?
それとも出来ないのでしょうか!?
簡単に答えを言うと、
「かなり難しい」です。
その理由と歴史的な背景を解説します。
昔は取得できた?
実はこれまでは、人工関節置換術に対して「身体障害者手帳」が交付されていました。
股関節・膝関節の人工関節を置換している場合
→ 一律4級
足関節の人工関節を置換している場合
→ 一律5級
と決まっていました。
しかしながら、医療技術の進歩によって、社会生活に支障がないレベルまでに改善しているケースが多いことで、
平成26年4月に人工関節等の障害認定の評価が見直されたのです。
新しい判定基準とは?
それでは、平成26年4月に見直された判定基準とはどのようになったのでしょうか!?
股関節・膝関節の人工関節を置換している場合
→ 4級、5級、7級、非該当のいずれかに認定
足関節の人工関節を置換している場合
→ 5級、6級、7級、非該当のいずれかに認定
となったのです。
ん…??
別に取得できるんじゃないの…??
と思われるかもしれませんが、そうでもないです。
改定後の評価方法とは?
改定後の評価方法は、
「人工関節等の置換術後の障害の状態を評価し…」
となっています。
その評価方法は、膝関節を例にとって示すと、
4級: 各方向の可動域が10度以下のもの、またはMMT2以下のもの
または高度の動揺関節・高度の変形
5級: 各方向の可動域が30度以下のもの、またはMMT3のもの
または中等度の動揺関節
7級: 各方向の可動域が90度以下のもの、またはMMT4のもの
または筋力低下で2km以上の歩行ができないもの
となりました。
これは、ほとんどの人工膝関節術の方が非該当になるほど厳しいものなのです。
股関節や足関節も含めて詳しい資料は、厚生労働省のHPを参照ください!
まとめ
今回は、人工関節置換術後の身体障害者手帳の取得に関する記事をまとめました。
手術を受けた当人からすれば、
「悔しい!」とか「なんで?」という思いの方もいるでしょう。
しかしながら、事実人工関節の進歩は目覚ましく、その改善の程度も昔とは比べものになりません。
公的な財源が圧迫されている中、納得するしかないでしょう。
ただ、本当に該当する人も勿論存在し、必要に応じてきちんと医師に相談して意見書を書いてもらうようにしましょう。
スポンサーリンク