「部分荷重訓練」とは?その目的や効果とは?
「部分荷重訓練」
骨折の手術後などのリハビリテーション場面でよく耳にする言葉です。
そもそも「部分荷重訓練」とはどんな訓練なのでしょうか?
「部分荷重訓練」とは、
“段階的に荷重量を増加させながら下肢に荷重をかける訓練”
です。
骨折や、靭帯損傷、変形性関節症の手術後などの整形外科疾患において、
骨や靭帯の転位を予防し、骨の癒合や再生を待つ期間であり、
骨折部にかかる“圧縮応力”を減らすことを目的とします。
加えて、段階的な荷重は、
“骨の癒合を促進する”方法として位置付けられています。
そこで今回は、「部分荷重訓練」の目的や方法、その効果について解説します。
→骨折とは何か?骨折の種類とは?
→骨折の治癒!骨癒合にかかる日数とは?
Contents
「部分荷重訓練」とは?
部分荷重訓練は、
骨折や、靭帯損傷、変形性関節症の手術後などの整形外科疾患に対して、
患肢の荷重量を段階的に増加させていく訓練方法です。
具体的には、
・変形性股関節症の手術後
・変形性足関節症の手術後
・大腿骨頸部骨折後の手術後
・不安定性の強い大腿骨骨折の手術後
・下肢の靭帯損傷の手術後
などで行われることが多いです。
ただし、これらの判断は、転位などの骨折の重症度や年齢、活動量、認知機能などから、
医師が総合的に判断した結果、処方される訓練方法です。
「部分荷重訓練」の目的は?
部分荷重訓練の目的は、
“患肢にかかる圧縮応力を減少させる事”
です。
部分荷重訓練が行われる状態は、
骨の癒合が十分ではなく、過度な荷重が転位を引き起こす事などもあるのです。
「部分荷重訓練」の方法は?
荷重訓練においては、以下のような段階的なステップを踏んでいく事が多いです。
免荷(non weight bearing:NWB)
↓
接地(touch)
↓
部分荷重(partial weight bearing:PWB)
↓
全荷重(full weight bearing:FWB)
この中でも部分荷重は、自己の体重を基準として、
1/3部分荷重、1/2部分荷重、2/3部分荷重といったように段階的に荷重量を増加させます。
例えば体重が60kgの人であったら、患肢にかける体重の量は、
20kg→30kg→40kgといったように、体重計などで確認しながら荷重を増やしていくのです。
ただし、これらの荷重量は、
X線(レントゲン)や骨折部の状態などから医師が判断し、決定されます。
「部分荷重訓練」の効果は?
部分荷重訓練は、
“骨の転位を生じないように過度な荷重を控える”
ということだけでなく、荷重を行うことで、プラス面として生じる様々な効果が存在します。
骨癒合を促進する
やや矛盾するようですが、
過度な荷重ではなく、骨の状態に合わせた部分荷重訓練では、
骨折部の癒合を促進する効果があります。
歩行の準備ができる
1ヶ月間の免荷期間を経て、全荷重歩行開始…
さて、すんなり歩くことが出来るでしょうか!?
部分荷重訓練では、
足底からの感覚入力や、筋力発揮などの面に関して、
歩行に類似した点が多く存在し、
全荷重歩行が開始になった際にスムーズな荷重が行える場合が多いです。
疼痛部位の確認ができる
部分荷重訓練を行っておくことで、出現しやすい疼痛の部位などの確認が可能です。
そのため、全荷重歩行になってからではなく、事前に疼痛に対する対処も可能となります。
全身的な機能低下の予防ができる
免荷での松葉杖歩行よりも、部分荷重での松葉杖歩行の方が、難易度としては低く、
松葉杖移動の苦手な高齢者においても、ADLのアップを図ることが可能です。
このようなADLのアップは全身的な体力や筋力などの機能低下の予防や、
患肢の廃用性の筋力低下の予防などを図ることできます。
まとめ
今回は、「部分荷重訓練」の目的や方法、その効果について解説しました。
適切な荷重量のコントロールは、
患者の回復を促進し、スムーズな歩行獲得に欠かせないのです。
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