「腸腰筋膿瘍」とは?原因や症状、治療法は?

    
Pocket

%e3%82%b9%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8932

「腸腰筋膿瘍」

という疾患をご存知でしょうか?

 

あまり聞きなれない病名だけに、

その原因や症状、治療法などもあまり知られていないことが多いです。

 

スポンサーリンク

 

「腸腰筋膿瘍(ちょうようきんのうよう)」とは、

“腸腰筋と呼ばれる筋肉に膿(うみ)が溜まる疾患”

です。

 

 

“腸腰筋”とは、

股関節の付け根に存在する大きな筋肉で、

脊柱と下肢を直接連結する唯一の筋です。

 

 

生じた膿瘍は、皮膚や皮下など限られたスペース内に生じ、

全身倦怠感疼痛をはじめとして様々な症状を呈します。

 

 

好発年齢は、中高年以降であり、やや男性に多いとされます。

その原因は多岐にわたりますが、多くは感染によるものです。

適切な治療を行わなければ、重篤な症状に発展することもあるので注意が必要です。

 

 

そこで今回は、「腸腰筋膿瘍」の原因や症状、治療法などを解説します。

“腸腰筋”ってどんな筋?

“腸腰筋“とは、

腰椎と大腿を直接連結する筋です。

 

正確には、

・大腰筋
・小腰筋
・腸骨筋

の3つの筋の総称です。

%e3%82%b9%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8931

起始は、第12胸椎から第4腰椎の椎体側面及び椎間円板側面で、

停止は、全腰椎の肋骨突起です。

 

その役割は、股関節の屈曲骨盤の前傾などの運動に加えて、

立位にて骨盤の前方移動を制動する機能などがあります。

 

 

 

腸腰筋膿瘍の原因は?

腸腰筋膿瘍の原因は、

感染をはじめ多岐に渡ります。

 

 

【感染菌によるもの】

感染によるものの中では、起因菌として、

黄色ブドウ球菌連鎖球菌が大半を占めており、稀に結核菌の場合にもあります。

 

 

【疾患に合併するもの】

脊椎カリエス椎骨骨髄炎などに合併して生じることがあります。

これらの疾患も元々は、筋骨格感染症が原因となっています。

 

 

【消化器疾患に合併するもの】

虫垂炎クローン病などの消化器疾患や、

尿路感染症に合併して生じることがあります。

 

 

 

腸腰筋膿瘍の症状は?

腸腰筋膿瘍に特徴的な初見はありませんが、様々な症状を呈します。

 

・発熱
・全身倦怠感
・背中や下腹部、腰部の疼痛
・股関節屈曲変形

などが生じます。

 

この中で初期症状として生じるのは、

発熱や全身倦怠感、疼痛です。

 

徐々に足を動かすことによる疼痛や、

足そのものが屈曲(曲がる)位で変形することがあります。

 

また、膿が血管内に侵入するなど重症化した場合、

尿路感染敗血症に発展するリスクがあり、最悪の場合には命に関わることもあるのです。

 

 

 

腸腰筋膿瘍の治療法は?

腸腰筋膿瘍の治療法は、

第一に“安静”が挙げられます。

何らかの疾患に合併した場合には、安静臥床を原則とします。

 

同時に、抗菌薬抗生剤を投与することで、

症状の改善を図ります。

 

また、膿瘍自体のサイズが大きい場合や、

抗生剤などの効果が認められない場合には、

“ドレナージ”を行い、膿自体を取り除く方法もあります。

 

 

 

まとめ

今回は、「腸腰筋膿瘍」の原因や症状、治療法などを解説しました。

感染から生じる場合が多いため、

原因疾患の治療が必要なのは言うまでもなく、

感染症を防ぐ対策が重要となります。

「腸腰筋膿瘍」に対するリハビリテーションはこちら
「腸腰筋膿瘍」とは?リハビリテーションの効果や必要性は?


スポンサーリンク
Pocket