「棘突起骨折」とは?原因や症状、治療法は?リハビリで治るの?
「棘突起骨折」
あまり聞きなれない疾患名であると思います。
下肢や上肢の骨折に比して頻度は低く、
単独で損傷することよりも、合併損傷によってより重症な状態となることが多い外傷です。
「棘突起骨折」
“棘突起”というのは、
脊柱(背骨の骨)の各々の骨の後方に存在する突起です。
この”棘突起”には、
多数の筋肉が付着しており、
主に背中を伸ばしたり回旋させる作用を持ちます。
“棘突起”は通常、軽微な衝撃で骨折することはありませんが、
一方向から強い衝撃が加わった際に骨折をきたすことがあります。
これを「棘突起骨折」と言います。
ただし、そのような強い衝撃が加わると、
棘突起単独の骨折というよりも脱臼骨折などを伴う「脊髄損傷」を伴うこともあるのです。
今回はそんな「棘突起骨折」の原因や症状、治療方法などについて解説します。
「棘突起骨折」とは?
「棘突起骨折」を解説する前に、
“棘突起”について簡単に説明します。
人の脊柱は、頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、加えて仙椎と尾骨からなります。
尾骨と第一頚椎(環椎)を除く脊椎には、
椎体と呼ばれる胴体の後方に突出した突起があります。
これを”棘突起”と言います。
(画像は腰椎の棘突起です)
棘突起には、背中を伸ばしたり、回旋させたりする筋肉が付着する部位です。
「棘突起骨折」は文字通り棘突起の骨折ですが、
頚椎から仙椎に及ぶまで棘突起が存在しているので、
実際には、「◯椎の棘突起骨折」というふうに呼びます。
ただ、実際には、棘突起自体が長い
第7頚椎(隆椎)、第1胸椎の棘突起の骨折が多いです。
棘突起のすぐそば、「横突起骨折」はこちら
→「腰椎横突起骨折」とは?原因や症状、治療法やリハビリテーション方法とは?
「棘突起骨折」の原因とは?
「棘突起骨折」の原因は、
強い外力によるものです。
棘突起そのものに加わる衝撃はもちろんのこと、
頚椎であれば過度の屈曲や伸展、軸圧、過度の回旋などを様々な外力で生じます。
実際の例としては、交通事故やスポーツ外傷がその中心です。
スポーツの場合は、水泳の飛び込みやアメフトやラグビーなどの接触を伴うスポーツ、
さらには乗馬などによる落馬での例もあります。
ただし、このような強い衝撃の場合、
棘突起単独の骨折だけでなく、
脊髄にまで強い衝撃が加わり受傷する「脊髄損傷」にまで発展する可能性があります。
「脊髄損傷」による記事はこちら
→脊髄損傷とは?原因や好発年齢は?
→脊髄損傷における主要残存筋と、その機能とは?
→脊髄損傷の再生医療とは?
「棘突起骨折」の症状とは?
「棘突起骨折」の症状は、
強い疼痛です。
首を動かした際に“軋轢音”などが生じることもあるようです。
合併損傷として脊髄損傷まで発展している場合には、もちろん動くことは難しく、
最悪の場合、四肢の麻痺や命の危険が生じることがあります。
「棘突起骨折」の治療とは?
「棘突起骨折」そのものに対する治療法はありません。
いわば、保存療法といって、自然に治癒するのを待つしかないのです。
ただし、その間にも骨折部の骨のズレや、骨の不安定さによる症状の悪化を抑制するために、
頚部の場合にはカラーなどを装着することもあります。
基本的には安静ですね。
「棘突起骨折」はリハビリで治るもの?
リハビリテーションは基本的に骨の治癒を促進するものではありません。
よって、リハビリテーションを行えば治るというのは誤りです。
ただし、臥床期間が長期に及ぶ場合などは、
臥床に伴う全身機能の低下(いわゆる廃用症候群)が生じるリスクが高いため、
安静期間中でも行えるリハビリテーションを行うことが必要です。
まとめ
今回は「棘突起骨折」の原因や症状、治療方法などについて解説しました。
数年前にも落馬によって外傷を患った騎手がいたことは記憶に新しいです。
幸いにも軽微な外傷として済む場合もあるので、
異変を感じた場合には直ちに受診をするように努めましょう。
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