「急速破壊型股関節症」とは?その原因や症状、治療法とは?

    
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「急速破壊型股関節症」

股関節に生じる疾患ですが、あまり知られていない疾患でもあります。

その病態は一体どのようなものなのでしょうか!?

 

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股関節に生じる疾患といえば、

代表的な変性疾患に、

「変形性股関節症」が挙げられます。

 

また、外傷などで生じる疾患では、

「大腿骨頚部骨折」

「大腿骨転子部骨折」

などがあります。

 

いずれも股関節という身体の中でも可動性が大きく、かつ重心に近い関節であることからも、

障害を負うことで日常生活動作が高度に制限されます。

 

そんな股関節疾患の一つに、

「急速破壊型股関節症」があります。

 

文字通り、

“1年以内に大腿骨頭、ひいては股関節の高度な破壊をきたす疾患”

と定義されています。(Postelら)

 

病態についても多くは明らかになっていない疾患でありますが、

今回は、そんな「急速破壊型股関節症」の原因や症状、治療法などをまとめます。

「急速破壊型股関節症」とは?

「急速破壊型股関節症」は、

1960年代より報告された疾患で、

1970年にPostelらによって報告されたことで、広く普及した疾患概念です。

 

Postelらによると、

“1年以内に大腿骨頭、ひいては股関節の高度な破壊をきたす疾患”

と定義されます。

 

8割以上の罹患患者が女性であり、

65歳以上の高齢者が占めています。

 

変形性股関節症のように、

臼蓋形成不全を伴っていることが多いですが、

大きな違いは、半年から1年程度の短期間に関節裂隙の消失や大腿骨頭の変性などの破壊が急速に生じることです。

 

年間の患者数は約650人程度と推定されており(かなり稀)、

家族歴などは否定されています。

 

 

 

「急速破壊型股関節症」の原因とは?

短期間の間に発症する「急速破壊型股関節症」には原因があるのでしょうか!?

 

実は、様々な報告や諸説あるものの、

その病態や原因についても不明な部分が多い疾患なのだそうです。

 

その中でも、説として挙げられているのは、

・骨粗鬆症の関与

・骨吸収の異常

・脊柱の変形などによる骨盤の傾きから力学的な負荷がかかる

などが挙げられます。

 

ただ、これらは決定的な要因とはいえず、

様々な要因が関与しながら発症するのではないかと言われています。

 

 

 

「急速破壊型股関節症」の症状とは?

「急速破壊型股関節症」の症状は、

初期から発生する“疼痛”です。

 

強い股関節痛が生じれば歩行などの日常生活が困難となります。

また関節破壊が強い場合には、脚長差などが生じる場合もあります。

 

変形性股関節症と比較すると、

疼痛の出現など急速なため、比較的関節可動域制限などが少ない場合が多いです。

 

 

 

「急速破壊型股関節症」の治療とは?

「急速破壊型股関節症」の治療は以下の2つに大別されます。

 

保存療法

保存療法では、

主に薬物療法によって疼痛をコントロールします。

 

荷重痛などは力学的な負荷によって生じるため、

松葉杖を使用したり、場合によっては車椅子での生活となります。

 

ただし、改善が得られない場合が多いです。

 

 

手術療法

手術療法では、破壊された関節を人工物に置換する

「人工股関節全置換術(THA)」が行われます。

 

変形性股関節症などにも標準的に用いられている手術方法で、

主に除痛が得られます。

 

ただし、術後の股関節は脱臼などリスクや、筋力低下が一時的に生じることもあるので、

リハビリテーションなどを受けることになります。

 

術後の脱臼に関する記事はこちら
人工股関節全置換術後の脱臼の原因や時期は?

 

 

 

まとめ

今回は、「急速破壊型股関節症」の原因や症状、治療法などをまとめます。

股関節の疼痛を抱えている人も多いと思います。

本疾患に限らず、すぐに軽快しないような疼痛をお持ちであれば、

できるだけ早期に受診し、早期治療を開始することが重要です。

変形性股関節症に関する記事はこちら
変形性股関節症って治るの?原因や症状、治療方法とは?
変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?


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