「外傷性頸部症候群(通称:むち打ち)」の症状や治療期間は?リハビリは必要?
交通事故による外傷の中で、
最も頻度が高いものの一つに、
“むち打ち症”があります。
正式には、「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」と言います。
「外傷性頸部症候群」とは、
強い衝撃によって、
“頸部と体幹が異なる向きへの運動が強いられた際に発症”します。
交通事故や飛び込みの事故によるものがほとんどです。
スポーツなどで損傷することも少なくありません。
その中でも、後方からの追突事故による頻度が高く、
その重症度も様々であると言われています。
「外傷性頸部症候群」は、
通称“むち打ち症”となど言われたり、“頚椎捻挫”と言われたりします。
元々は、鞭(むち)のようにしなる損傷であったためこのような呼び名がありますが、
最近では、加害的な意味を避けるため、「外傷性頸部症候群」と呼ぶのが一般的です。
追突事故などを起こされ、どのような症状が出るのか、
そしてどのような治療を行えば良いのか不安な方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、「外傷性頸部症候群(通称:むち打ち)」の症状や治療期間、リハビリの必要性などについて解説します。
「外傷性頸部症候群」とは?
「外傷性頸部症候群」は、
通称“むち打ち”と言われ、多くは自動車による追突事故によって、
頭部が後方、体幹が前方へと、異なる方向への運動を強いられることによって生じる頸部周囲の外傷です。
そのため、“頚椎捻挫”と呼ばれることもあります。
損傷を受ける組織の多くは、
筋肉・靭帯・関節包といった、
通常、画像所見では見抜きづらい障害のため、辛さを理解されない場合も多いのです。
また、症状がすぐに出現せず、数日経ってから現れる場合もあるため、
医学的にも診断がしづらいという側面を持ちます。
「外傷性頸部症候群」の症状とは?
「外傷性頸部症候群」は、
“頭痛”
“頸部痛”
“頚椎の運動障害”
を主要な三症状としています。
特に後頭部や背部に生じる疼痛や、
上肢や手指の痺れ、首の可動域制限などが生じます。
その他の症状として、
・めまい
・吐き気
・食欲不振
・耳鳴り
などが生じることもあるとされており、
このような多彩な症状が、
明確にどの組織を原因として生じているのか明らかでないものも多いのです。
また、明らかな脊髄の損傷を伴う場合には、
「外傷性頸部症候群」ではなく、「脊髄損傷」として診断されます。
→脊髄損傷とは?原因や好発年齢は?
→中心性脊髄(頸髄)損傷とは?その症状やリハビリテーション方法は?
「外傷性頸部症候群」の治療とは?その期間は?
「外傷性頸部症候群」の治療は、
急性期には内服を中心とした疼痛コントロールや、
頚椎カラーを用いた局所の安静を取る必要があります。
急性期を過ぎ、骨の損傷がなければ、
牽引装置などを用いた物理療法などが行われることもあります。
(場合によっては症状の悪化を招くため、かなり慎重な処方が必要です)
基本的には、積極的な治療を行うのではなく、
自然経過の中での回復を待つ方法をとります。
多くは3ヶ月以内に症状が治まりますが、
それでも症状が残る場合には、器質的な要因のみならず、
心療内科などを受診し、心理療法などが行われることもあります。
「外傷性頸部症候群」のリハビリテーションは必要?
「外傷性頸部症候群」に対して、
積極的なリハビリテーションを行なっても症状の改善を促進することは難しいです。
しかしながら、ある一定期間の頚椎の固定に対して、
頸部の関節可動域訓練を行ったり、頸部周囲の筋力強化を行い、
受傷前と同様の運動を取り戻せるようなメニューが望ましいとされます。
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