「偽関節」って何?その原因や症状、好発部位とは?治療法はある?
「偽関節」
“偽(にせ)”の“関節”ってどういう意味なんでしょうか?
「偽関節」とは、
“骨折部の治癒が遷延または停止し、異常可動性を有している関節”
です。
(骨癒合が遅れていても、そのプロセスが停止していない場合には、「遷延治癒」とも言います)
もっと簡単に言うと、
骨折部が完全にくっつかず、
実際には関節ではない部分が関節のように動いてしまう状態です。
(だから“偽(にせ)”の”関節”って言うんですね)
偽関節は、
骨折の後に続発します。
あらゆる骨折に生じる可能性はありますが、
ほとんどが好発するとされる特定の骨折に続発します。
その頻度は、全骨折中の5-10%程度とされています。
異常可動性が生じていることで、
疼痛などが生じる場合は、手術療法などによって治療を行います。
今回は、「偽関節」の原因や症状、好発部位、さらにはその治療法などについて解説します。
「偽関節」の原因とは?
骨折が生じると、
身体の自然治癒能力によって、以下のような骨癒合が生じます。
そのプロセスでは、
(1)骨折部位の骨片の間に肉芽組織が形成され、
(2)新生血管が肉芽組織に侵入し、骨組織が作られます。
(3)石灰塩の沈着によって成熟した骨組織となる。
詳しい骨癒合に関する記事はこちら
→骨折の治癒過程「リモデリング」とは?
この骨癒合の過程において、
物理的にそれらを阻害する要因(過剰な剪断力や捻転力)や、
血行不良や栄養障害などが生じると「偽関節」となるリスクが高まります。
安静を守らずに過度に動かしたり、
糖尿病などの内分泌疾患を伴う場合には特に注意が必要です。
骨癒合の促進方法はこちら
→骨折の治癒「骨癒合」の促進方法は?
「偽関節」の症状とは?
「偽関節」の症状は、
・異常可動性
・疼痛
の二つです。
本来動くはずのない場所が、
骨折後に続発した「偽関節」によって、
あたかも関節のように動いてしまうのです。
そのことによって、
疼痛を生じることがあります。
(中には疼痛が生じない場合もあります)
また、ある関節を動かそうとしても、
その周囲で「偽関節」が生じると、
本来関節ではない場所が動いてしまい、意図した運動が行えなくなってしまうこともあります。
その他にも、
偽関節が形成された部位に細菌が侵入し感染を引き起こしたり、
足の骨折などでは脚長差や変形を残したりする場合もあります。
「偽関節」の好発部位とは?
「偽関節」が生じるのは、
ある特定の骨折に続発することが多いです。
その骨折部位とは、
・手の舟状骨骨折
・上腕骨近位端骨折
・大腿骨頚部骨折
・脛骨下1/3骨折
・距骨骨折
などが挙げられます。
もともと血行が乏しい手や足の付け根であったり、
血管ごと損傷を受ける長管骨と呼ばれる長い円柱状の骨に生じやすいと言えます。
「偽関節」の治療とは?
「偽関節」に対する治療方法には、
いくつかの方法があります。
その中でも一般的なのは手術療法であり、
・自家骨移植
・イリザロフ法
などが代表的な方法です。
自家骨移植は、
その名の通り、自分の他の中の一部(腰の骨などが一般的)を採取し、
偽関節が生じている骨片と骨片の間に移植します。
血流を確保するために、骨だけでなく血管共々移植することもあります。
イリザロフ法は、
偽関節部位で壊死した組織を取り除き、
鋼線を用いて患部を固定する方法です。
もともと低身長に対する治療法で、
固定した装置を調整することで、徐々に化骨を伸ばしていき、
元の長さに伸びるまで成熟させる方法です。
特に、感染によって生じた偽関節に有効と言われています。
まとめ
今回は、「偽関節」の原因や症状、好発部位、さらにはその治療法などについて解説しました。
一旦「偽関節」が生じてしまうと、
自然に治癒するのは難しく、適切な治療を受ける必要があります。
また、最近では最新の治療法として、再生医療を応用した方法なども開発されているようで治験なども行われているようです。
骨癒合にかかる日数とは?
→骨折の治癒!骨癒合にかかる日数とは?
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