「パテラクランクシンドローム」とは?原因や症状、治療法とは?

    
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変形性膝関節症に対して、

人工膝関節全置換術(TKA)は標準的な手術療法として確立されています。

後遺症としてのリスクに「パテラクランクシンドローム」というものがあるのをご存知ですか!?

 

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変形性膝関節症とは、

“加齢などによる退行性の疾患で、荷重時の疼痛や、変形などを生じる疾患”です。

高齢化かつ、女性に好発し、潜在患者を含めると日本でも非常に多くの患者が存在します。

 

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現在、変形性膝関節症の治療法として確立されているのは、

「人工膝関節全置換術(TKA)」です。

 

変性した膝関節面を人工物に取り替える手術です。

特に荷重時に生じる痛みの除痛が主たる効果で、

歩行を始めとした日常生活動作の再獲得が可能です。

 

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そんなTKAにもリスクは少ないものの、

手術である以上いくつかの合併症、または後遺症などが存在します。

 

その中の一つに、あまり頻度は多くないですが、

「パテラクランクシンドローム」と呼ばれるものがあります。

 

今回は、「パテラクランクシンドローム」とは何か?原因や症状、治療法に迫ります。

「パテラクランクシンドローム」とは?

「パテラクランクシンドローム」とは、

膝蓋骨上極と、大腿四頭筋腱の接合部に繊維性過形成の結節を生じ、

その結節が屈曲時に顆間窩に嵌入し、伸展時に疼痛を伴うクランクを生じる病態です。

 

本来であれば、

膝蓋骨は膝関節の屈曲に伴い遠位に移動し、

伸展に伴い近位へ移動します。

 

この際に、大腿四頭筋腱の接合部に生じた結節が引っかかり、

おおよそ膝関節伸展の際に、屈曲30-40°の付近で疼痛を生じるのです。

 

 

 

「パテラクランクシンドローム」の原因は?

「パテラクランクシンドローム」が生じる原因は、

いくつかの要因があります。

 

患者側の因子はもちろんのこと、

手術による人工関節のインプラントなどのデザイン、

膝蓋骨が低位であること、

膝蓋骨のサイズ設置位置など機種や術者による影響も多いのです。

 

とりわけ、PSタイプのインプラントに生じやすいことが報告されています。

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「パテラクランクシンドローム」の症状は?

前述のように、「パテラクランクシンドローム」の主要な症状は、

おおよそ膝関節伸展の際に、屈曲30-40°の付近で生じる疼痛です。

 

当然ながら、膝関節の前面で疼痛が生じ、

異常な礫音などが聞かれます。

 

また、触診によって異常な膝蓋骨の運動を触知することも可能ですが、

レントゲン上では有意な所見が見られないことも多々あります。

 

 

 

「パテラクランクシンドローム」の治療法は?

「パテラクランクシンドローム」の治療法は、

生じている結節を切除するための手術を行います。

場合によっては、膝蓋骨自体を人工物に置換する方法もあります。

 

靭帯や軟部組織のバランスを整えることが重要で、

手術のみならず、リハビリテーションなどによって、周囲組織の柔軟性の改善なども予防には重要な要素となります。

 

 

 

まとめ

今回は、「パテラクランクシンドローム」について、原因や症状、治療法を解説しました。

あまり頻度は多くないですが、

術後の在宅生活で徐々に膝関節前面が痛くなるという病歴を聞くこともあります。

異常を感じたら、整形外科などを受診し、一度診てもらうことをオススメします。

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