膝蓋骨骨折に対する手術療法後のリハビリテーションとは?
膝蓋骨は、
膝の前面に位置している円形の骨です。
人体の中では最大の種子骨であり、
膝関節を効率良く可動させるために重要な役割を果たします。
特に膝蓋骨骨折後のリハビリテーションでは、
これらの機能の再獲得が求められます。
膝蓋骨は、
膝の前面に位置する人体最大の種子骨です。
一般に「膝のお皿」とも呼ばれていますね。
この膝蓋骨は、
上端に「大腿四頭筋」が付着しています。
膝蓋骨は膝関節で支点の役割を果たし、
大腿四頭筋の強力な伸展活動を補助する役割を担います。
そんな膝蓋骨の骨折は、
全骨折の中でも約1%と言われていますが、
膝の外傷の中では比較的頻度の高い骨折です。
多くは、交通事故や転倒、スポーツ外傷など、
膝関節に働く直達外力が受傷機転となります。
時には、大腿四頭筋による強力な牽引力が引き金となることもあります。
詳しくはこちら
→膝蓋骨骨折とは?原因や症状、その治療方法は?
膝蓋骨骨折の治療法は、
重症度や骨折の型によって、保存療法か手術療法が選択されます。
手術療法においては、
物理的な膝蓋骨の安定が図られることから、
早期からのリハビリテーションが可能です。
そこで今回は、膝蓋骨骨折に対する手術療法後のリハビリテーションについて解説します。
手術後のリハビリテーションの目的は?
膝蓋骨骨折に対する手術療法では、
代表的な方法に、
「Zuggurtung法」があります。
別名「Tension band wiring法」とも呼ばれています。
この方法においては、
Wireを用いて、物理的に膝蓋骨の安定性が保障されるため、
早期からの運動が可能となります。
手術方法に関する記事はこちらを参照ください
→膝蓋骨骨折に対する手術療法とは?どんな方法がある?
手術療法におけるリハビリテーションの目的は、
1.術後の疼痛の緩和
2.関節可動域の改善
3.大腿四頭筋の筋力回復
です。
言い換えれば、これらは問題として残存しやすいのです。
手術後のリハビリテーションの実際
※時期や詳細な設定は主治医の判断で行いますので、あくまで一例として参照ください。
手術後より、関節可動域訓練が開始されます。
術後は骨の安定が十分でない場合があるので、屈曲は0-45°程度にとどめます。
同時に膝蓋骨の周囲の癒着を防止するために膝蓋骨のモビライゼーションなどを行いましょう。
荷重に関しても伸展位でロックした状態での荷重訓練を開始します。
ただし、この時期は大腿四頭筋の過度な収縮を誘発しないように注意しましょう。
4週程度が経過したら、屈曲角度は60°までとします。
Quad settingやSLRなどの大腿四頭筋訓練を積極的に開始します。
6週以降は、疼痛に応じて屈曲可動域を徐々に増やしていきFull Rangeを目指します。
同様に荷重なども、過度な深屈曲は避けながらも、徐々に膝屈曲位での荷重や歩行を開始します。
スポーツ復帰などに関しては、
関節可動域制限がなくなり、かつ筋力が十分に回復した時点が望ましいと考えられます。
それぞれのスポーツ特性に合った動作はしっかりと確認しておく必要があります。
なお、正座の獲得は、おおよそ半数例が可能と言われており、
反対に言うと、半数は関節可動域制限が残存する可能性があるということです。
保存療法に対するリハビリテーションはこちら
→膝蓋骨骨折の保存療法に対するリハビリテーション方法は?
まとめ
今回は、膝蓋骨骨折に対する手術療法後のリハビリテーションについて解説しました。
当然ですが、受傷時の重症度によって、手術の是非やリハビリテーションの効果も左右されます。
もっとも多く残る後遺症は、やはり関節可動域制限です。
ただし、病院でのリハビリテーションで回復するだけが全てでなく、地道に日常生活の中で、膝を適切に使うことが後遺症を残さないためのポイントです。
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