大腿骨頭壊死とは?その原因や症状、治療法は?
「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)」は、
難病にも指定されている股関節に生じる疾患です。
薬物投与の副作用で生じることもあり、
高齢者のみならず、若年者での発症もあるのです。
「大腿骨頭壊死」とは、
“股関節の付け根である、大腿骨の骨頭が壊死する疾患”
です。
突発性に生じることもあるため、
“突発性大腿骨頭壊死”とも称されています。
国により難病に指定されていることからも、
全国的な疫学調査が行なわれており、
本邦の大腿骨頭壊死、年間新規患者数は約2,200人(2004年)と報告されています。
様々な原因が報告されていますが、
最終的には、人工骨頭置換術などの手術を施行することで予後は良いとされています。
そこで今回は、大腿骨頭壊死の原因や症状、その治療法などを解説します。
大腿骨頭壊死とは?
大腿骨頭壊死とは、
大腿骨の“骨頭”が血行障害や栄養の不足による「壊死」によって、
脆弱化し、次第に破壊される疾患です。
大腿骨頭は、図のように股関節の付け根の部分で、
丸いボールのように骨盤に収まっている部分です。
この部分の破壊は、股関節での荷重を阻害し、
いずれは立位や歩行の制限となります。
大腿骨頭壊死の原因は?
大腿骨頭壊死にいたる原因やメカニズムは、
今の所はっきりしていませんが、何らかの疾患によって、
【ステロイド(副腎皮質ホルモン)】の投与が疑われています。
さらには、10年以上のアルコール摂取歴なども関与していると言われています。
事実、新規患者のうち、
「ステロイド投与歴がある」場合が約50%、
「習慣的な飲酒歴がある」場合が約30%を占めています。
そのため、ステロイド薬を治療薬として用いることがある
“全身性エリテマトーデス”や、“ネフローゼ症候群”などに後発することがあるのです。
大腿骨頭壊死の症状は?
大腿骨頭の骨壊死が出現した段階では、「無症状」であることが多いです。
自覚症状が出現するときは、すでに骨頭の圧壊が進行しており、
急激に生じる股関節痛や腰痛などが症状として現れます。
同時に、骨の変形などから、関節の可動域制限や、
立位や歩行をはじめとした日常生活動作の制限が生じます。
しかも左右両側で発症する例が半数を占めているのです。
大腿骨頭壊死の治療は?
大腿骨頭壊死の治療法は、
・保存療法
・手術療法
に分類されます。
患者の背景や重症度を考慮しますが、
第一選択では保存療法が適応されます。
しかしながら、基本的に骨頭壊死自体の改善はなく、
症状の進行を防止する観点から、
杖を使用した免荷などの生活指導を行います。
症状が進行し、日常生活にも高度に支障が出るのであれば、
【手術療法】が適応となります。
若年者であれば、関節を温存した“骨切り術”などが適応となります。
高齢者や重症度が高い場合には、人工股関節全置換術が適応となります。
人工股関節全置換術は、
変形性股関節症などにおける標準的な手術方法であり、
詳しくはこちらを参照ください。
→変形性股関節症の手術療法とは?どんな種類や方法がある?
→人工股関節全置換術後の脱臼の原因や時期は?
まとめ
今回は、大腿骨頭壊死の原因や症状、その治療法などを解説しました。
基本的に手術療法実施後は、予後は良好とされています。
若年者や、症状の進行が軽度の場合は、関節温存による手術療法が適応となりますが、
その手術時機を逃さないことがポイントとなるようです。
大腿骨頭壊死のリハビリテーションの記事はこちら
→大腿骨頭壊死のリハビリテーションとは?
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