「腓骨骨折」の原因や症状は?治療がいらないって本当?
“腓骨”とは、
下腿の中でも外側に位置する比較的細い骨です。
荷重に際しても、
並んでいる”脛骨”に比し、その役割は少なく
骨折をしても「腓骨は治療しなくていい」なんて言われていました。
これって本当なのでしょうか!?
「腓骨骨折」は、
軽い捻挫で生じる場合や、
スポーツなどの衝突を有する場合に受傷します。
前者は、捻挫の際に、
腓骨下端である外果周囲に付着する“靭帯”の牽引力によって
剥離するように骨折することがあります。
“腓骨”は、
下腿に存在する骨ですが、横並びに走行する”脛骨”に比して、
細く、荷重に際しては重要な役割を果たさないと言われています。
そのため、過去には、
「腓骨骨折」をしても治療をしなくても大丈夫!!
なんてことも言われていました。
そんなことはありません!
腓骨も重要な役割を持ち、きちんとした治療が必要です。
そこで今回は、「腓骨骨折」の原因や症状、治療法などを解説します。
「腓骨」とは?
下腿には、軸となる太い骨である“脛骨”が中心に存在します。
その外側に位置するのが“腓骨”です。
長く細い骨で、外くるぶし(外果)から、膝の部分までで、
体表からも容易に触診可能です。
人体の体重を支えるのは、主に“脛骨”であり、
腓骨は補助的な役割を担います。
例えば、体重を外側にかけた際に荷重を受けることや、
足首の運動を円滑に行うために、上下動運動をするなどが挙げられます。
「腓骨骨折」の原因は?
「腓骨骨折」の原因としてもっとも多いのは、
“内反捻挫”に伴う腓骨遠位端骨折です。
これは外果に付着する人体に牽引されることで生じる骨折です。
その他にも、
・スポーツでの接触
・交通事故での衝撃
・転倒や転落
などがあります。
“内反捻挫”に関する詳しい記事はこちら
→足関節外側靭帯損傷(足関節捻挫)の原因や症状、治療法とは?
→足関節外側靭帯損傷(足関節捻挫)に対するリハビリテーションとは?
「腓骨骨折」の症状は?
「腓骨骨折」の中でも注意が必要なのは、
“捻挫”との鑑別です。
ただの捻挫だと思っていても、
以下のような症状が出現してきた場合は注意が必要です。
・外くるぶし(外果)周辺の腫脹
・内出血
・強い疼痛
・足の外側への体重での強い痛み
このような症状が出てきた場合は、
直ちに受診することが望ましいです。
また、腓骨は骨の転位が生じやすい部位であり、
“コンパートメント症候群”を合併することもあります。
「腓骨骨折」の治療は?
「腓骨骨折」を生じた場合には、
まずその程度によって治療法が異なります。
転位がなく、靭帯損傷などを合併していない場合には、
“保存療法”が適応となります。
保存療法では、ギプス固定を行い、骨癒合を待ちます。
おおよそ固定開始から3〜4週程度で癒合が確認できることが多いとされています。
→骨折の治癒!骨癒合にかかる日数とは?
→骨折の治癒過程「リモデリング」とは?
一方で、骨の転位や靭帯損傷を合併している場合には、
“手術療法”が適応となります。
手術の場合には、金属製の棒、ネジやボルトなどを用いて固定します。
術後は、免荷期間を経て、徐々に荷重訓練を開始するなどの、
【リハビリテーション】が重要となります。
まとめ
今回は、「腓骨骨折」の原因や症状、治療法などを解説しました。
「腓骨骨折」は治療の必要がないというのは、“間違い”です。
(※高齢で活動量が低い場合に、何もしない場合にもある)
適切な治療を行わなければ、
荷重の不均衡や、変形をきたす可能性もあります。
また、足首にかかるような骨折の場合、
多少の骨のズレが、
将来的に“変形性足関節症”を招くこともあるので、適切な治療が必要です。
→変形性足関節症とは?原因や症状、治療方針は?
→変形性足関節症の手術療法とは?どんな種類がある?
スポンサーリンク